暗殺者との恋愛記

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最初は怖くて帰りたくてたまらなかったけど、今ではモルテが居ないと生活がままならないほどにされてしまっていた。食事も口移ししか食べさせて貰えなくて、もう口移しじゃないと物足りないと感じてしまう。 移動も抱き上げられていて歩くのなんてこの部屋の中の僅かな距離のみ。俺はモルテが居ないと死んでしまうんじゃないかと思ってしまうほど、モルテに依存していた。 最近ロブが隙間から部屋を覗いてることが増え、赤ちゃんを見てるのかと思っていたがどうやらマリアを見ている様子。 そんなある日モルテがノアをマリアに預けて俺の首輪を外して、服を着せてどこかへ連れて行く。外は夜で、そこは最初の森でここに来た時にみたオッドアイのカラスが居た。 「今なら帰れる」 「え?」 見つめればモルテは無表情で俺を見つめてきている。腹にまだモルテとの子も居るのになんでそんな事言うんだよ…俺に飽きたのか…? 「俺は梓真と居たい。でも梓真の幸せは梓真が決めるべき」 「そんなの…モルテと居たいに決まってるだろ…」 ギュッと抱きつけばふっと微笑まれた。 「知ってた」 「馬鹿ぁ…!!」 ギュッと首に手を回す。前の世界に未練は無いし、ノアと腹の子の為にもモルテと生きたい。年老いて死ぬまで、モルテは愛してくれるか分からないけれど、まだしばらくは愛してくれるよな?
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