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3日目
今日は昨日より少しだけ夢のことを覚えている。
あの人が出てきた訳じゃないのに
確かに夢の中であの人に会った感覚が
今までで一番ハッキリしている。
懐かしくて少し苦しいあの感覚は、
きっとずっと昔に会ったことがある人
なんだろうと思う。
そして、出来ればもう二度と会いたくなかった人。
わからないけれど、そんな気がする。
まだ、所詮ただの夢だと思っているけど
今日一日そのことばかり考えてしまった。
小さい頃からの記憶を必死に辿った。
同じ学校だったあの子、関わった先生、
友達の友達や家族、近所に住んでた人…
どんな人を思い出してもピンとこない。
まだ思い出してない人がいるはず。
だって記憶に何か穴があるみたいな感覚がする。
…これはあの夢の人の言葉に影響されている
だけなのかもしれないとも思うけれど
何か思い出しきれないモヤモヤが苦しい。
せめて、見た目の特徴だけでも覚えていたなら
何か手がかりがあるかもしれないのに、
年齢すらもわからない。
あんなにハッキリとした夢なのにどうして
こんなにぼやけてしまうのだろう。
今日こそは、と思い眠りについたけれど
もうあの人が夢に出てくることは無かった。
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