今日から俺は、殺し屋!?

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 何が起きたのか……。同じ状況になれば誰もが混乱するだろう、そんな事態が俺に起きていた。  昨日まではしがないサラリーマンだった俺。出世競争からもこぼれ落ちた只野マサヨシ、36歳。寝て起きたら……全く別の環境にいた。  布団に入った時は6畳ひと間のおんボロアパートだったのに、起きたらお洒落シックな高級感あふれる部屋のフカフカベッドの上にいた。しかも横には見ず知らずの超絶美人の女が裸で寝ているんだから……訳が分からない。  これが夢にまで見た異世界転生かと思ったが、鏡を見ればそこにいるのは只野マサヨシ、俺そのもの。カーテンを開けて見れば、そこにあるのは見慣れた東京の街並みだ。ただし高層から見下ろしている状況ではあるが……。  芸能人ならドッキリもあり得るだろうが、ただの一般人である自分にそんな事は起き得ない。  状況が全く理解できずフリーズする。しかし、何かしらのヒントを得ようと無意識にも部屋をあさり始めた。  すると、山ほどあるものが出てきた。  それは……拳銃やらナイフやらの凶器。そして幾多ものパスポートやら運転免許証などの偽造本人確認書類だ。 「何これ……」  働き過ぎでおかしくなってしまったのだろうか。薬にでも手を出してしまったのだろうか。全身に恐怖が走る。  とにかく今置かれている状況を理解したい。そう思い、ベッドで一緒に寝ていた女性を起こしに行った。 「す、すみません……。お、起きていただきたいのですが……」  少し距離をおいてそう声を掛ける。  それに反応するように女性はパッと目を開き、身体を起こした。 「おはよう、マサヨシ。そんなに汗をかいてどうしたの?」  大きな瞳が真っ直ぐ俺を捉え、優しく微笑む。整った顔立ちで小顔が映えるボブヘア、美しい身体。今までに出会ったどんな女性よりも魅力的な彼女は、間違いなく俺を知っていた。  密かに熱くなる股間を無理矢理に抑えつけながら、その欲求以上に膨れ上がる疑問を彼女にぶつけてみた。
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