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初めて、二人で
結局成美の本心は分からずじまいだった。
「私に遠慮してるんだったらそれは見当違いだから。
だって私と鳴海は女同士だもの。」
と彼女はいつもの笑顔で言い、僕はその瞳の奥から真意を計り知ることはできなかった。
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「すいません拓磨さん、待ちました?」
不意に鳴海の声がして僕は我に帰る。待ち合わせの午後六時より少し早い。
初めて会った時のように髪を束ね、落ち着いた色味のワンピースに少しだけ化粧をしている鳴海は誰が見ても女の子だった。
「いや全然、今来たとこ。じゃ、行こっか。」
「はい。」
二人きりで遊ぶのは初めてだから緊張した。
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