観覧車の存在意義など、アレしかないだろう

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観覧車の存在意義など、アレしかないだろう

「・・拓磨さん。ウチ、普通の男の人と付き合った事なんてないんですよ。」  何回目かのデートでやってきた水族館は思いのほか空いていた。だから僕らは相変わらず恋人未満の距離感で暗い館内を見て回った。 「ゲイの人とは何人か付き合いましたけど、合わなくて。最初から男が好きな人とは何か違うんです。」  薄暗い水槽の中を悠然と泳ぐジンベエザメを見ながら、鳴海が僕にそんなことを話してくれた意図を考えてみる。でも考えたところで何もわからない。ただ、名前も顔も知らない鳴海の元カレたちに勝手に嫉妬した。 「拓磨さんって多分、モテるやないですか。もっと可愛い子、なんぼでも付き合えるでしょ。」 「僕にとっては鳴海さんが一番可愛いよ。」 「ズルくないですか、真顔でそういう事言うの。」  僕はド直球しか投げられないから仕方ない。
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