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水族館でデートをしたあと、二人で観覧車に乗った。スタッフからは僕らはごく普通のカップルに見えていたと思う。
「観覧車、めっちゃ久々に乗りました。」
紫色に染まっていく空を、鳴海は手すりに体を預けて食い入るように見ている。
「僕も。久しぶりに乗ったよ。」
「え、ホンマに?そっちゅうデートで来てるんじゃないんですか。」
と、ちょっと意地悪な笑みで言われて僕は思わず顔をしかめた。
「僕ってそんな風に見えてたの?」
「いいえ別に。あの、拓磨さん。」
不意に鳴海の声のトーンが少しだけ低くなり、遠くの景色を見つめる目は僅かに憂いを帯びていた。
これは何かを言われるな、と思った僕は手すりを握る手に力を籠める。
「夜のデートって正直あんまり乗り気じゃなかったんです。」
花火の時も、今回も・・?
「どうして。」
「・・ちょっとだけ、髭生えてくるんで。」
少し間が空いた後、僕らの目が合う。鳴海が先にぷっと笑って、つられて僕も笑った。
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