観覧車の存在意義など、アレしかないだろう

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「で、で、どうだったの?水族館デートは。」  風呂上がりの成美は今日も興味津々だ。まぁこうやって聞かれるのは予想してたけど。 「うん、まぁ一応、付き合う事になった。」 「わっ。おめでとう!やったね。好きな方食べていいよ。」  彼女は何故か我が事のように喜んでくれて、冷蔵庫から二種類のアイスクリームを取り出して見せる。 「じゃあ、ラズベリーの方で。」 「で、で、どこで告ったの?やっぱ観覧車とか?」  成美がアイスクリームとスプーンを持ってきてくれて、自分用にはクッキーアンドクリームをテーブルに置いた。 「まぁ。」 「ベタよねー。ね、次は?どこ行くの。」 「なんでそんなグイグイ聞いてくるんだよっ!」 「私のお陰で付き合えたようなもんじゃん。で、手は繋いだ?てか、観覧車乗ったんだったらもうチューしたの?」 「してないっ。てか聞くな、そんな事まで。」 「えー、観覧車なんてもう、チューする為に存在してるようなもんじゃん。」  そうやって話す彼女は、僕と鳴海が恋人になった事を心底喜んでいるように見えた。僕の心にあった「成美は鳴海を好きなのでは」というひっかかりは杞憂だったのかも知れない。
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