English man in New york

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 鳴海は紅茶派だった。ティーパックの袋を開きながら小声で歌う。 I don't drink coffee,I take tea my dear. —コーヒーはいらないから、紅茶をくれないか I like my toast done on one side. —トーストは片側だけ焼くのが好きなんだ 「スティング、好きなの?」 「この曲だけ、なんとなく。」  二人で手のひらを重ねて指を絡め、うろ覚えの歌を歌った。 Oh I'm an alien , I'm a legal alien. —僕は異邦人 ただし合法な異邦人さ I'm an English man in Newyork. —僕はニューヨークに迷い込んだ英国人  どうして鳴海はこの歌を好きなんだろう。  この歌詞の中でのalien (異邦人)とは、性的少数者の事を暗に示していたからだと僕は思っている。これは後で知った事だけど。   Be yourself ,no matter what they say. —誰になんと言われようと、自分らしく生きることだ  そう、自分らしく。    世間一般の「普通」に当てはまらなくたって。
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