オトナな彼女

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 「どうしていいかわからない」なんて台詞を吐いてはいけないのはわかってはいるけど八方塞がりだった。僕としては彼女の作成した資料の誤った箇所を指摘し、褒めるべきところは褒めて、ミスの再発を防ぐための工夫をするように優しく促したつもりだった。「困ったら聞いてくれて構わないから」と付け加えて・・ 「かといって、「納期までにやり切れ」って課長のプレッシャーもキツいし」  僕は仕事の苛立ちを隠そうともせず、乱暴にアイスコーヒーをストローでかき混ぜた。  それを見ていた鳴海が、自分の顔を指して眉間にぎゅっと皺を寄せる。 「拓の今の顏、こんなんやで。」 「え、」 「ほんまやって。会社におるときもこんな顔してへん?拓って、けっこうイライラ顔に出る方やから、そういう時の顏って客観的に見たら怖いし、後輩の女の子からしたらなおさら怖いんちゃうかな。」  ・・・ぐさっときた。  「イライラが顔に出る」ってとこが。
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