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弾丸スケジュールで疲れていた僕らは早めに消灯した。
瞼を閉じればすぐに寝入ってしまうほどに疲れている。日本酒も飲んだので意識はとろんとしていたし、マッサージをした足裏はぽかぽかと温かくて心地よい。
暗闇の中、鳴海が聞いた。
「・・・拓、もう寝た?」
「いや、まだ。」
「ウチが誘ったし、ここのお金はこっちで出すわ。」
「いや、鳴海は学生なんだから無理するなよ。」
急な予定変更に慌てて肌着だって買ったし。
「わかった。ありがと。」
少しの間の沈黙した後、鳴海が控えめに聞いた。
「拓。こっち・・・くる?」
僕は無言で鳴海の布団へ身体を滑り込ませる。真っ暗な中で手をつなぎ、乾ききっていない髪の匂いが鼻腔をくすぐった。
「ごめん、昼間はちょっと言い過ぎたかなって思ってるんよ。」
「ううん、ああいう事をちゃんと言ってくれるのはありがたいと思ってる。」
「まだ学生のウチが生意気な事言うたかなって・・・」
確かに鳴海はまだ大学四年だけど、僕より大人びた印象があった。高校を卒業した後に一度社会人を経験してから大学に入りなおした経緯があるからなのかもしれない。
「そんなことないし、鳴海の言ってることは正しいと思う。」
「・・・あんまし気にし過ぎんといて。な。」
そう言って僕の頭をぽんぽんと撫でる。鳴海はいつもこうして僕の事を優しく受け止めてくれるのだ。
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