高校教師

「先生」と野球部員が声をかけてきた。　
「おお日比谷か」私は彼の姿を見てすっかり気分はよくなった。
「野球部の朝練習しないのですか？」
「公立中学校ではないのだぞ。朝間に合わない部員もいるから朝練習はしない」
「帝京高校は朝練習していたと思うけど」
「何部？」
「確かサッカー部」と彼は答えた。
「野球部じゃないの？」
「野球部も朝練習していたかもしれない」
「甲子園行きたくないか？」
「行きたい」
「高校球児なら甲子園に行きたいよな」
「行きたいです」
「じゃ試合に勝てば行けるぞ」
「地区予選で毎回いいところまでいくけれど負けてしまうのです」
「今年は勝つぞ」
「ありがとうございます」
　グランドに出ると野球部員たちは準備体操をはじめているものもいた。
「準備体操して」
　部員たちは準備体操を終えるとキャッチボールをはじめた。
　その日私は部員にノックをした。バットでボールを打ち部員をしごいた。皆見事なボールさばきでボールを扱っていた。