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練習は終わり生徒たちは下校していく。
ほかの部活動をしていた生徒も気していた。私は不思議な感覚を覚えた。つい最近まで私は部活動をしていたような気がした。
高校野球であった。高校生時代に野球部員をしていたことを思い出した。
あれはよかったのかもしれないと私は思い出した。
高校野球に関係できればいいと思っていた。
今私は高校野球部の指導をしている。長崎で八百屋を職業にしていたころには考えられなかったことだったな、と私は信じられなかった。
でも本当の話なのだった。
「三田先生、野球部はどうですか?」教頭がたずねてきた。
「ぼちぼちです」
「去年ベスト八ですよ。西東京地区予選」
「なかなかいいですね」
「普通の野球部より強いと思いますが」
「確かに以前西東京地区予選ベスト四になったチームという気はしました」
「かなりいいところまでいけると思います。特に今年のチームは」
私はそれには答えずに立ち話をしていた廊下から職員室に入ったのだった。
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