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「先生は長崎出身らしいですよ」と教頭は言って笑った。
何が言いたのかわからなかったので私は黙っていた。
「今度修学旅行で長崎に行くかもしれないのでその時はよろしくお願いします」と教頭は言ったのでその話をしていただけだったのであった。長崎か。なつかしいな、と思った。
でも余計なことは言わなかった。
長崎の原爆の記念公園にでも行くのかな、と思っていた。
私は山田と話しながら校舎内の階段を上っていた。
私は山田が女だというだけではなく人間としていいのだなと感じた。
すぐに国語ね授業をする教室に入って教壇に立ったのであった。チャイムが鳴ってはじまったのである。
私は講義をすることに集中していたのだった。
「三田先生はたしか八百屋さんだったね」
「いいだろう」
「かっこいい」と意外なことを言う生徒はいた。
かっこいいか?
私は少し頬がゆるんだ。
チャイムが鳴ったので授業は終わっていた。
トイレで用足しして次の授業に備えた。
今日から私は高校教師なのだ、と思った。
こんな気分はなかなか経験したことはなかった。
八百屋はかっこいいらしい。確かにかっこいいと、私も思う。
私は高校教師になれることが出来て気分はよかった。
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