高校教師

「そうか。今年長崎に原爆投下されてから四十五年後か？」
「正確には六十八歳だけど長生きしてほしいです」
「今年は平成二年になったか」
「なんかまじめな話しているね」
「珍しい」
「いいことです」私は生徒たちに答えた。
「いいことですか？」
「まじめな話しばかりでもいけないけどまじめな話もしないといけないです」
「先生、長崎のころ何の仕事していたの？」
「八百屋」
「八百屋さん？」
「学生時代から八百屋で働いていました」
「大学はどこ？」
「ていうか高校はどこ？」
「国見高校」
「あの高校サッカーの強豪校？」
「その脚の長さでサッカー部員だったらサッカーやっていなかったらどんなに脚長かったのかな」
「そういうことは言わないように」私は注意した。
「ごめんなさい」
「長崎で被曝した身内がいるのですか？」