3人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーここはイグレシオン。そう大都会でもなく、だからといって、ド田舎でもない。
よくあるような、特に大事件も起こらない、比較的長閑な街並みが並ぶ、平和な場所である。
そんなイグレシオンに佇む、何だか場違いな所轄署がある。
イグレシオン署陰契課。世間からは吸血鬼と呼ばれ、恐れられる“昏きもの”を主に雇い、人間も入り交じって働く。
そんな、人間が犯す犯罪専門ではない、何か超常現象とか、“昏きもの”が起こす事件や事故を取り締まるような、いわゆる一つの、対“昏きもの”用の警察署である。
そんなイグレシオン署で働く人々は実に様々だ。
柔らかそうな金糸の髪を揺らし、肩にかかる程度の長さまで伸びたのを首元で無造作に纏めた青年は、そんな特殊な集まりな陰契課の中でも、特に目立った存在でもある。
ダークブルーのスーツ上下にライトブルーなストライプ柄のネクタイを締め、シャツはホワイトでシンプルに着こなしている。
青年の名は、シェイカー=オフ=エディと言い、これでもイグレシオン署陰契課では、課長補佐として働く立派な刑事である。
そんな彼は今、イグレシオン署内でテイラー=イースタン、ロイナス=イースタン親子、そしてエルファリス=シェラ=ヴェスバニア、ラキ=ウィルス=ヴェルセルクと共に、仕事の合間に雑談を楽しんでいる最中であった。
因みに、同じイグレシオン署陰契課で働く相棒の課長補佐、アンダーテイカー=ヴァン=イレブンジーズは、ちょっとした所用で現在は不在であったりする。
「……で、結局シャークさんとディニテさんって何者で、一体皆さんと、どういった御関係なんですか?」
話題の中心は、もっぱら最近きまくっている、訪問者、侵入者の話になってしまっている。
最初のコメントを投稿しよう!