第一章・ー“蒼の騎士”……?ー

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「それは聞いたよねぃ」 「うん。はは……。本当なんだ。これ、本当の話」  実際、シェイカーが良く知る先代四大霊鬼であったウォルフリィも、先々代四大霊鬼だったグランパも、ディニテに負けず劣らずの破天荒な性格である事は、とても深く、時には身を以て体験していたから、冗談であるとかは決して言えないのである。 「現四大霊鬼の父親である方もね。……ついでに言うなら、その方の父親……つまり現四大霊鬼の祖父にあたる方々の性格がね。ちょっと破天荒な感じでさ」 「そうなんですかぁ。確かにディニテさん、とってもとっても、面白そうな方でしたよね!」  能天気とも言える、わくわくうきうきな気分を微塵も隠さないで返すのは、他ならぬエルファリスだ。  それを聞いたシェイカーは、内心で「いや……。()()、面白いかなぁ……?」とかいう感想しか抱けない。  エルファリスとて相当の強者だとは認識しているが、やはり四大霊鬼と比べればどうなのだろうかという点もあり、きっと“昏きもの”が内に秘める恐ろしさを、真の意味で理解していないのだろうなと思う。  そこに関しては多分、彼らの目の前で四大霊鬼と接していた、オフィーリアの態度がいけなかった。  ()()はもう、気さくを通り越して馴れ馴れしい……。否、オフィーリアが放つ不遜な態度はまさに、どちらが四大霊鬼なのか甚だ怪しい部分まで垣間見せていた。  オフィーリアも彼なりに尊敬の念を持ち併せ、畏怖しているとは言うのだが、普段からの態度を見るにつけ、とてもではないがそんな風には見えない。  見えないどころか、捉えようによっては、尊敬どころか見下している風にさえ取れるのだから、まぁ仕方ないのかと、シェイカーは長いため息を吐いた。
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