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確かディニテには双子の兄がいて、そちらも故あって、ヴァイス署陰契課で働きだしたという。
これもオフィーリアからの報告でしか知らないのだが、どうやらその、双子の兄とやらは、シェイカーの実兄と契約を結んだ“昏きもの”……、契約鬼でもあるというのだ。
今まで消息の知れなかった実兄が実は生きていて、呑気な事に四大霊鬼“蒼”直系の“昏きもの”と“血の契約”を交わし、あまつさえヴァイス署陰契課で働くなどと、話を聞いた時は大して驚きはしなかったものだ。
だが実兄は昔から、破天荒というか常識知らずで敵味方関係なく場を荒らしては、楽しんで楽しんでその末に、自らが“面白そうだな”と判断した方につく性格なのは知っていたから、物凄い勢いで「本当に大丈夫なのかなぁ」という思いしか抱けないのもまた、事実なのである。
ただ、契約鬼であるディニテの兄に関しては、オフィーリア曰く「俺が尊敬して目標としとる騎士の一人で、それはもう、最高なお方やねん」と、超絶珍しく瞳をきらきらさせながら語ってくれた事があるので、何となくではあるが、良識的な“昏きもの”なのかなと判断している。
シェイカーの記憶が正しければ、名前はジェネール=ヴェール=ブルーと言った筈だ。
腰までありそうな長く蒼い髪をブルーのサテンリボンで一つに纏め。すっと通った鼻筋と、これでもかってくらいに整った唇。
そして顎の線がシャープな顔立ちに、とても良く似合う切れ長の赤い瞳が印象的だと、特に頼んでもいないのにオフィーリアが見せてくれた、ジェネールの写真に対してそう感想を抱いたものだ。
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