あなたの筆はどちら?

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 今日もプロットを少し書いただけで、それ以上は頭が働かない。ベッドに寝転がったままスマホに打ち込んだプロットは文字数だけが嵩んで中身はスカスカのままだった。  ここ最近はいつもそうだ。頭の中で物語こそ浮かぶものの、いざ執筆となると気が散り眠たくなってしまい、たったの数行しか進まない。書きたいラストだってあるのに、それが上手く形になってはくれない。物語の要となるプロットだってこの有り様なのだから、これはまあ当然の結果ではあった。 「プロット……書き方、検索っと」  検索結果として表示されるのはすでに訪問したことのあるサイトばかりで、そこにはどれも同じようなことが書いてあった。  寝返りを打ち、スマホを持つ手を反対に変えた私は大きな溜め息をついて目を閉じた。ああ、いま目を閉じてしまえばきっとこのまま眠ってしまう。けれど、そうは分かってはいても、重く塞がる瞼は簡単には開いてくれない。半ば強引に、ゆっくりとこじ開けるように開いた目でスマホの光を存分に浴びればようやく、徐々に視界のピントが合っていく。 「ん……なんこれ」  ふと、スクロールした先に見覚えのないサイトを見つけた。開いてみればやはり一度も訪問したことの無いサイトで、作りは個人サイトのように単純なものだった。 『あなたにしか書けない物語』  タイトルにはそう書かれていて、そこから下にはプロットや執筆についてのアドバイスが記してあった。なんだ、こんなに親切なサイトがあったんだ。気を良くした私は身体を起こし、ベッド脇の壁にもたれ掛かるようにしてそのサイトを閲覧し続けた。
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