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「私にしか書けない物語、か」
そんな魅力的な文言につられ次々に項目をクリックしていく。作家なら誰しも自分だけにしか書けない物語というものに惹かれるだろう。だからなのか、私はこのサイトから目が離せないままだった。
このサイトは基礎的なことから応用的なことまで広範囲に渡って小説のいろはが書いてあるようで、まさにプロットで行き詰まっていた私にとっては神のような存在だった。ラッキー、そう思って読み続ければ、なんだか今なら執筆できるような気がしていつもの執筆モードの体勢になる。よし、書くぞ。案外やる気というものはこんなふうにひょんな事でスイッチが入ったりするんだな。なんて、呑気なことを考えながらさっきまで書いていたプロットを最初から練り直す。えっと最初は主人公が挫折するところから……。
「んー、こんなもんかな」
背伸びをしながら途中まで書いたプロット兼下書きを読み直しつつ独り言を放つ。少し筆が乗ったことによる気分の良さが相まって止まらない独り言。
「ここは、ボツだなぁ。これは、うん、いいね。あ〜でもなんかラストが違うかな〜」
私はこの時、少しの違和感から目を逸らし、筆が乗ったことを喜ぶ方を選んでしまった。それが結果として良くない方へ転がることも知らずに。
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