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この魔法魔術学院にあって現在、在籍3年目。第二級魔術師・ネイア・フォレストもまた、いつもの朝と変わらぬひとときを迎えていた。
違う事と言えば、昨日付けで自分の属している班が、一ヶ月間に及ぶ朝の食事当番の任を終え、久々にゆっくりとした朝の空気を堪能していると言う事。
本来ならば、もう少しのんびり過ごしてもバチは当たらないだろうとも思うが、昨日までの生活習慣が早々に抜けるはずもなく、既に目覚めて今日が動き始めている学園内。
慌ただしく、動き回る人々の奏でる不協和音を聴きながら、惰眠を貪れるほど不真面目さはなく、またある種不幸な勤勉さを持つ彼女には、我慢ならない事だった。
……本来、学院でのこうしたお勤めは、身分如何に関わらず原則、学院に属する全ての学徒が従事する決まりではあるが一部、例外も存在する。
国内外から、広く魔術を志すものを集めると言う観点から基本、全寮制を採用している学院にあって一部、外から通ってくる者達。
王都アヴァロン。その上流階級が住まう一角に広い邸宅を持ち、学院に多額な寄付を行う有力な貴族や豪商の子弟達が、それにあたる。
ネイア自身、その生家は【フォレスト商会】と言い、国内で五指に入ると言われる豪商の一人娘。当然ながら上流階級層に屋敷を構えており、本来ならば寮に入る必要のない、才媛であった。
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