第一話。【不運の始まり。或いは伝説の夜明け前】

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 がその後、基礎講義4年次課程を修了し卒業するにせよ、中退するにせよ通常、第二級資格を得ることなく学院を後にする者はいないとされる。  第三級認定以降、幾つかの進級、昇進試験を経て【第一級魔術師】そして【導級師】となる。  基礎四年次の学習を納め、最上級課程に上がるためには、第一級資格か導師見習いである導級師認定が必須となるが、そこで行き詰まり留年を重ねるもの、卒業認定試験を受けて卒業、或いは退学していくものも少なくない。  稀にではあるが学院在学中に、様々な仕事や冒険・探索などで功績を上げて資金を稼ぎ、王立大学院へ編入する場合もあるが、なかなかに一流【魔術師】として認められるのは、狭き門である。  そんな中にあってネイアには、とある異称・威名が存在する。 【雷の愛娘】【千に一つの魔女】  この二つは数ある彼女の異称にあって、最も広く伝播されているものであり、必ずしも名誉ある二つ名ではない。  彼女は一面、入学当初から極めて優秀、と言うのは控えめに過ぎるほどの才女。端的に言って稀代の天才魔術師と称して過不足ない。  一般的に【魔術師】と言う存在に対する印象、それを最も端的に表すものと言えば、やはり【攻撃魔法】であろう。その習熟に関して、彼女は他の通髄を許さなかった。      
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