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「……少なくとも監視塔くらいは造られることに、なるでしょうねえ」
アルベルトは自身の思惑だと指摘されても、否定しなかった。
そうなると何時迄も庶民に開放してはいられない。修道院は新たな街に移転されることになる。そこまでは現時点で既定路線のようだとネイアは考えた。だがそれでもここ一、二年で急速に進む話しでもあるまいと。
「ねえアベル。今、孤児院に何人くらい子供たちがいるの?」
「ん?知らなかったけ?俺を入れて8人だけど?あとはシスター・シェクティの他、大人が何人か。こっちはシェクティ以外いたりいなかったりだから」
「うん、知ってる。一応確認してみただけよ」
勿論、ネイアにとって多くの子供達は顔見知りであり、アベルほどの親しい間柄ではなく、名前も知らない子供もいるにはいる。大人についても、時折修道院に野菜を収めにくる地元の信者、村人が数人。王都の教会より時折、見習いシスターや視察の人間が出入りしている。
……確かに、規模としては決して大きくはなく、敷地面積的にも現状、多くを必要とはしないだろう。これならば……
「アルベルト先生、もう一度確認しておきたいのですが」
ネイアは意を結したように襟を正し、姿勢を整えてアルベルトに向き合う。
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