第二話。【新米冒険者(仮)。華々しく伝説の第一歩、踏み出してみるの事。

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「……騎士志望のジェイミーはともかく、ネイアが突進するのってどうなんだろう」    嫉妬の成分を微量に含んで聞こえるネイアの熱弁に、アベルがポツリと呟く。 「聴こえてるわよ〜アベル。魔術師は後方支援か、大規模攻撃・範囲魔術でどっかん、なんてのはとっくの昔に廃れた概念。おとぎ話よ」  特に魔装大戦以前と以後では、その役割は180度一変したと言ってよい程、魔法・魔術の運用は変化した。 「そそ。今や魔術運用の流行・傾向は単音・単音節の属性付与魔法に近接支援魔術で最前線を支える兵を直接支援し、自らも魔術で強化した武具で敵を薙ぎ払う。これこそが近代・現代騎士の、目指すべき理想さ☆」  ただ豆鉄砲みたいな攻撃魔法ぶっ放したり、剣技だけの騎士道精神なんて古い古いと、ジェイミー自身の見解を加えつつ同意する。 「そう、なんですよねえ。私なんかちょっと回復魔法が秀でているだけで、とてもじゃないけど、騎士様や他の魔術師に混ざって前線に立つなんて……」 「いや、まあアンジェリカと私達はそもそも役割が根本的に違うから」  慌ててネイアがリーダーのフォローに入る。 「後方支援とは言え、それでも多少は近接戦闘の心得があった方がいいけどさ。そこはそれ」
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