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❀15.❁°˖✧
川崎駅から 電車へ乗り込むふたり …
慎は 乗り込む時に
スバヤク
一緒に乗り込む 周りの人を
覚えるために チェックした
そして …
東京へ向かう電車へ乗り込み …
ふたりが
電車から降りたのは 蒲田駅
逃げたわりには 川を渡っただけの
近すぎるくらいの? ここ?
でも …
こんなに近すぎるから
同じように動く人も少ないはずで
慎は 電車から降りた途端
そこへ暫くとどまり 一緒に降りた人た
ちをまた チェックして
乗り込んだ時と同じ顔が無いかを確かめ
ると それでも
同じ電車から降りた人たちがいなくなる
まで そこでジッとして 自分たちが
最後になってから歩き出した …
慎はそれほど
慎重になっているけれど
ゆきは 慎がいるから なにも気にせず
にそれに合わせてただ動いて …
―
慎は 駅を出ると 目に入ってくる
ビジネスホテルに気を留め
とりあえずの予約を入れて
そこへ入れるまでの時間を 人の多い
駅近くをうろつきながら ふと
思い出した様に なぜか …
一緒にいる ゆきが 初めて降りた
駅前が 賑やかだったから まだ
キョロキョロしながら 慎の後を
追っているのに?
そんなことも全く気にせずに 近くの
図書館 へ まっすぐ 入った …
―
「 え? 図書館なの?」
 ̄
ゆきは それでも 急に 慎が入りこん
だ図書館の前で またキョロキョロと
躊躇った
でもそれじゃぁ 怪しくも見えてしまう
から そんなゆきに 気づいた慎は …
 ̄
「 おい? ぁあ …
ここ … 意外だろ!
だからたぶん 平気!
ゆきも " 図書館?”
って 思ったみたいにな!
ここは さぁ
静かな 場所 だから
なにか あったら
目立って!
スグに周りの人が
気づくだろ!
だからで! いま
歩いてた 道にも ここの
案内も出てたけど …
駅チカなら!
地元民だけの利用でも
なさそうじゃん …
だから俺ら目立たないし …
な! それにもし
逃げるんだって
東急と JR の駅は
それぞれで 行先も
1つ じゃないから
読まれにくいじゃん
ここから なら な!」
「 う? ん …」
―
ゆきは 交通機関は詳しくなくて
慎の云った最後の方の意味は
あまり分からなかったけど …
" お! ” っと 目が大きくなり
慎が機転が利くのは分っていても
これ だって
こんなに急 じゃ?
ゆきには思いつけない事
だったから
こんな時にこんな事? 考えてたの?
の 驚きしか ゆきには ない
そして慎は
入り込んだ図書館は
そんな処だから
ゆきとの会話もしづらく て …
それなら …
まだ? なにかと云いたさそうな?
ゆきには構わなくても 良くなり!
で!
自分一人 集中して これからの事を
考える時間もできると 思った
そのとおり に?
ゆきは ここでは手がかからず? に
慎とは離れ 自分なりに それらしく
見える様に 本を探し …
一冊だして
空いてる席で ひとり
その本を読みだして …
この時間でも? まぁまぁ
けっこうな人がここには居て?
最初は緊張してたけど
それでも?
指の動きの勢いが良すぎると?
本のページをめくる音が目立つほど
の! 周りの静けさに
ゆきは 慎と離れても ここなら
安全 と 思った様だった
慎は その様子を確認すると
自分も 棚に手を伸ばし
その手にあたった本を取り出すと
せっかくだから
ゆきが見える程度に 離れて
ひとり ポツンと着席し
本を開いて ゆきとはきっと
違う事 を 考える …
—
… なんで こんなに早く …
 ̄
やはり慎には 不思議 で …
―
… でも 俺も あの日から仕事には
往かなくなったし? …
… だからって 俺と
って 決めつけられるのか? …
… いや …
一緒に帰った事も知ってるなら …
… だけど その事だって
アイツは誰から聞いたんだ …
ん? … ヤツか?…
―
っと 思いあたる事を頭に出して
慎は 職場の人間を疑った …
―
… アイツ … ヤツと
できてた の か? …
―
慎が まっさきに疑ったのは
ゆきに最初からキツクあたっていた
インテリア担当のカノジョだった …
―
カノジョは まん丸な
大きな目をさらに大きくし …
眉を上げ ゆきを 品定め する様に
ゆっくりと 下から頭のてっぺん
その髪型 ? まで " 確 認 ” し
―
「 … へぇ---- ねぇ
奥様だってね " あの先生 ” の!
悪いけど !
あたし ぜんぜん ! それ !
恐くないからさ !
ね ! あんた
車通勤だけどさ " あの車 ”
ウチなんかのじゃないじゃん
ドンビキぃだから電車で来なよ !
新人らしく さ ! 今日は ま
来ちゃったから! 仕方ないけど!
もっと ! 離れた目立たない
とこに留めなさいよ " 迷 惑 ” !」
―
それはまだ …
ゆきが「 初めまして … 」
の 挨拶の前 なの に
靴を脱ぎ バッグから 焦って 出した
持参したスリッパに履きかえ中のゆきの
背中に さっそく?
冷水がかけられた
みたいに
強い言葉が飛んで きてた …
―
「 は ?
す いません ! 」
「 え ?
な に ? 」
「 はい ?
あ … 初めまして ?
本日から … 」
「 ちがう ! 」
「 ね ! " すいません ”
じゃなく て
" スミマセン ”
だ ・ け ・ ど !
瞳が茶色 ね あんた
日本語ワカラナイの ? 」
… え?…
―
ゆきはビックリして 初対面の
カノジョを 見つめてしまい …
―
「 ヤメテよ !
" 睨まないで ” よ !
態度 悪ぅ !
や !
あ ! ねぇあんたさ?
あんたみたいなの
なんで 働く の ?
奥 様 の !
ひまつぶし ?
や ! だぁ⤴
どうせ いまさら
働き出しても
な~ん に も !
できないくせにね!」
「 いえ …」
「 え ?
" い え ”? そう ?
たいした自信ね !」
「 いえ ! そうでは
なくて です !」
「 ほら !
" 日本語 ” !
おかしい ! 」
「 スミマセン … 」
―
慎の疑ったカノジョは
お部屋の仕様 色決め や オプション
品などを お客さまと打合せし カーテ
ンや 照明なども 一緒にご提案をする
それに …
営業事務のゆきが入るまでの間
そこで 事務も兼務していた
仕事が " おできになる方 ” で
ゆきよりも 年上
で … なので?
下の者には 手厳しく? なのか
なぜか 最初から ゆきを
全否定している様な …
平日のモデルハウスの中では
来客の影がないと
このカノジョの声が
響いていて …
―
「 あのさ … 事務で
入ったったんでしょ
この伝票チガウじゃん
" 雑費 ” !
" 消耗品費 ”!
チガイ! ワカラナイ の!
これじゃオチない よ!
やり直し!」
「 スミマセン … 」
―
「 あ の ね !
雑巾は ! 雑巾で !
テーブルの上を拭くのは
キッチンクロス !
台拭き ! で ! しょ!
あんた !! いくつなの?
小学生でも 判るけど !! 」
「 スミマセン … 」
―
「 やだ!
お茶出ししたら
すぐ ! チャッパ
捨てない !
まだ ! 何杯かは
とれるでしょ」
「 スミマセン … 」
―
「 ぁ------ あ !
イツマデ掃除してるの?
やってほしい事
それじゃぁー
ないんですけどぉ― !
" 事務 ”
なんででしょ !
は・や・くしてよ --- !」
「 スミマセン … 」
―
そして とうとう …
カノジョの 感情 ? は
仕事上の注意に留まらずに …
―
「 ね ! それで ?
なにもできないのに
給料もらうつもり ?
そもそも !
" 奥 様 ” なら
" 金 ” !
イラナイじゃん!
皆にさ " 申し訳
ございません “
て ! 頭下げて さ
" 寄 付 ” しなよ !」
「 スミマセン … 」
―
「 あ! 30前 !
だっけ ? デショ!
27 ? だっけ !
なのに! その聲!
べちゃべちゃさぁ !
耳に入っただけで
やぁあ---!
聴きたくない!
吐き気がする!」
「 スミマセン … 」
「 あのさ!
いつまで来るの ?
辞めればいいじゃん !
若くもないし !
とりえもない し !
帰れない ?
なら ! あの !
" 先生に ” !
" お迎え ” !?
来てもらえ ! ば?」
「・・・・・」
―
やっぱ変だろ …
最初から だよなぁ …
それとも …
ん? 先輩 が?
―
… 慎にはもう一人 気になる者が?…
―
ゆきは 慎の大学の先輩で
ここの 責任者 の上司に
呼ばれて …
―
スタスタスタ …
「 ぁあ お疲れさん …
ちょっと 君 いいかな … 」
「 … は?
あ ! お疲れ様です
初め まして …
いえ … スミマセン…
大丈夫です … 」
カタっ…
―
ゆきは席を立ち …
皆は それぞれの仕事に忙しく
だから ゆきは これを
だれにも ことわらず …
皆も こちらを見る事もなく
そのまま仕事を続けて
事務室に残っている なか
なので
その責任者の後へ続き …
―
スタスタスタ …
…パタパタパタ…
―
そこは モデルハウス で
その中は 接客スペースでも
" ときとして ” ここで働いている
者たちには 会議室の様に
―
…タタタタタタ…
…トコトコトコ…
―
2階の リビング横の
和室を使う事があって
ゆきは …
ひとりだけ …
そこに連れていかれた …
―
…すぅ---
「 カタン…」
… ずりずりっ…
「 ま …
座ってさ … 」
「 はい … 」
―
責任者は 慣れたように スバヤク
自分のスリッパを 見る事も
揃える事 も なく入り …
ゆきは それを 見たから
二組のスリッパを揃えて中に入り …
そこから ?
ずっと この責任者に
視られてる ! から …
なぜだか それに対し ?
ゆきは警戒しながら ?
目立たないように ?
音を立てないように!
畳に正座して …
無垢板のローテーブルをはさんで
この責任者と向き合った
―
「 ん じゃ …
ね … どう ?
少しは 慣れた
かな ?」
「 あ …
いえ … 」
… なんだ ろ …
―
ゆきは 鈍くて
全く 気づけ な い …
―
「 … そうか
貴方は どうして
働こうと思ったの ?」
「 … はい ?」
「 … ん
まぁ さ … 貴方が
気づいてるか ?
分からないからさ …」
「 は ? 」
「 やっぱさ …
違い過ぎるでしょ
貴方は さ
" あの方 ”
後ろにいるし
正直 やりにく い
と いうか さ …
ボクも 困ってて さ 」
「・・・・」
「 … なんか さ
ここの空気 ?
悪くなってるじゃない
貴方は なにも ?
してないかも
しれないけどさ …」
「・・・・」
―
ゆきは
なにも 言い返せない …
すると …
―
『 失礼しま --- す !』
「 バタ ン!」
―
ゆきが返事を 早く!
するように と?
視界が狭くなる 様に ?
しっかりと閉められていた
ふすまが 勢いよく開けられ …
あ … ふすまを閉めたのは
ゆきだけれど … 閉めなきゃだし
で 密室になっちゃってたし …
―
『 リーダー
これ !
あんまりじゃないですか !
このコ 来たばかりですよ
なにか 謂うなら
あいつにじゃないですか ?』
…キョトン
「 … え ?」
―
まだ 聴かされたまま
なにも返事をしていないの に ?
ゆきは思わず そちらに目がいき
それにはそんな声を出してしま い …
… ダ ン!
云われた 責任者も 音を出すように
テーブルへ手をついて腰を浮かせ
―
「 ぁ⤴ あ ?
なんだぁ⤴ おまえ ? 」
『 ガタン!』
―
上司の威厳を見せたいの か ?
それは 払うような勢いで
だから 畳の上では
滑ってテーブルが 動いてしまい …
「 きゃ … 」
ゆきは その大きな声で
思わず カラダが動き
壁際に 退 き …
それでも ? 気にせず ?
その勢いのまま
―
『 いつも
ちっさい事まで
じゃないですか !
いうんなら !
アッチ に 謂えよ !』
… バタン!
―
慎は仁王立ちしたままでだし …
勢いよく開けたふすまの竪縁をまた勢い
よく戻して 柱にブツケ 音を 出し!
それで ?
自分の気持ちを ?
その音と激しさで表しながら?
―
「 あ …スミマセン
ワタクシが
ご迷惑 を … 」
―
ゆきはこれに
条件反射のような言葉しか出なくて …
だから か ?
―
『 は ? 違うだろ
いいから それ !
君は イインダぞ!
こんな事 謂われたら
怒って良いからな !』
「 は ?
なんだ ? 俺 か ?
おまえ なに
熱くなってるのぉ
うるせいな ~ 」
『 なんですかぁ!
だって
チガウじゃ
ないですかぁ ー 』
「 いいから !
" 下りろ ” よ !
なぁ ! いまの時間
" 架電 ” だろ!
おまえ 自分の
仕事しろ よ
関係ないだろ !
でしゃば る な 」
『 は ぁ~ ?
仕事は しますよ
でも ! ここの
雰囲気 ?
悪くしてる の
このコじゃ
ないですよね !』
「 はぁ---?
なんだよ !
偉そうにほざくな !
ん? ぁあ?
おまえ ら ?
なんなんだ よ
デキテンノ か ぁ?」
… え ?
どうして ? …
―
ゆきはその展開に
一瞬 固まり …
―
「 ぁあ ⤴
なんすかそれ !」
―
その2人の 険しい表情が
イッペンに目に入ってきたゆきは
… オロオロし
ゆきは 口が開いたまま
目をキョロキョロさせ
かなり おまぬけな顔のまま
立ち上がり
鋭い目つきで向き合ってる
怒っているせいか ?
こんなに滑る畳の上でも ?
踏ん張って いる !
大男な2人の 傍へ
… フラフラ
畳だから ? 滑りながら …
往こうとしていたけど …
それよりも
この2人の動きは速く …
―
「 あ ⁉
ワタクシタチは
なにも ! 」
―
言葉だけでもと
声は 発したけれど …
―
「 おっ !
" ワタクシたちは “
ってか ? 」
―
もぅ Switch が入った
この責任者は止まらず …
すっかり 悪役 ? に なって …
―
『 チっ ガ ! な ん!
なん ! すか ? 』
「 違いますよ !」
『 あ---- !
おまえらふたり けっ!
揃えるな うるせぇ!
いいか ! おまえら
俺の店で " ヤルナヨ! ”
ちっ ! だから
嫌なんだよ 主婦は さ!』
「 ヒ ど … 」
―
それ を …
聞き流せばよかったのに?
で … だけど …
こんな に ?
ここ で ?
そもそも ? 直接 は
カノジョと ゆきの問題に
関係ない 2人なの に ?
言い争い ? が
起こっ て …
しまう し …
たとえ ! ここが仕事場でも ?
たとえ ! それぞれ が
" 接客のため ” の
スーツで身を包んでいて も ?
2人の男が こんな
言い争いを続ければ
そ?
そうな っちぁ って ? …
―
『 お い!』
―
慎は 腕を 伸ば し …
もう 上司も部下も なく
止まらな かった …
―
「 ばさっ ! 」
… ぐらっ
『 ド スン ! 』
『 きゃ--------!』
『 て めぇ ! 』
『 なんすか! 』
…ドシン!
…ドシン!
「 ガタン !」
…ドシン!
『 てめーら
くそ が ! 』
『 うるせー ! 』
…ドシン!
…ドシン!
… やめてください!
「 … や め!
って … 」
…ドシン!
「… バ チっ!」
『 ド
ス ン!』
「 … っつ !」
… ダッ ン!
… ガタン!
… ダッ! ダダッ ダッ …
「 ・・・・ 」
「 ・・・・ 」
… ぁ …
―――――――――――――――――
慎は
こんな? 自分の大学の先輩まで
一瞬 疑ったけど …
―
… ふっ!
小心者の先輩が わざわざ?
自分から言うわけないよな …
… なら やっぱ …
… ヤツは アイツの事
" 先生 “ って 言ってたよな
ほかの連中は そんな謂い方
しないのに な … それ に?
ゆきの車の事だって
なんで知ってた?
… だとしたら ぁあ …
俺が 仕事に来なくなったら
アイツに 知らせるよ な …
… な ら どうする か な …
―
慎は これからの事を考える
けれども 勢いだけは良くても
現実には困る事もある …
―
… こんな事なら アイツの
部屋になんか
住まなきゃよかった …
… あいかわらず かぁ!
直接 俺に言って
きたらいいのによ!
なんだ! テメーは!
姿見せないで
走り書きの書置き
か? はっ!
その姑息なカンジ …
… チッ!
―
慎は 舌打ちをして 手にしている
観光案内本の内容とは 全くかけ離れた
苦々しい表情 に なる …
―
「 くそ …
早すぎんだよ!」
… 部屋を出たら 住所不定で
仕事探しもできねぇよ!…
…ガタン!
―
慎は ゆきが使った card の事を詳しく
は知らないから
ゆきが使った 途端
その情報が主人の方へ通知されたのも
ゆきと同様 知らないし
その支払先から ゆきの主人が ゆきの
タクシーを降りた場所を突き止め
それが 展示場の近くだとの事から
―
… なんで
職場なんかに …
―
っと なって?
なら っと?
職場の人間関係を疑えば
ゆきが行動を共にする様になっていたの
は 慎なので
その慎は と 調べれば
その日に仕事を辞めていて
そのふたりが同じ その日に
展示場から消えているのだから
それまで分かれば慎の住まうマンション
をあたるのは 順当な事で
どこでも顔の利く主人なら?
そこへ行け ば
中に入れて?
そうしたら …
そこには!
病院で使える様に自分が用意してやった
ゆきが履いてたルームシューズもあって
だから もう 確信し
ゆきの主人としては?
自分の社会的立場も大事であるし?
大人なら? その場を荒らすなどと
感情的な事は したくなかったし?
ご近所の手前 大騒ぎにしないために
ふたりを待つ事もしなかった?
だけ! だけど の 様で も …
慎は
そうは思わなかったみたいで
―
「 ん?」
―
慎は 席を立ち 顔を上げ
スマホをいじることなく
壁の時計を見つけると
時間を確認し
ホテルに入れる時間になっていたので
ゆきに 声をかけ ふたりは
ビジネスホテルに 移った …
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