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知る …
❀17.❁°˖✧
それからふたりは
慎の育った島
八丈島に向かった …
ところが …
―
それは もう 飛行機の窓を
覗き込んでいただけでも判る ほど
こんなに高く広がる美しい 空と
それよりも濃い青色をした 強くて
優しい 海と その水色も含んだ
柔らかく きっと しっとりとした
空気に包まれている 島に
ゆきは
慎が 「楽しみにしてㇿ!」 って
云ってくれたし ここへは初めてだから
ちょっと 欲張りすぎて
旅行気分も出て?
" こんどこそ! 海を
渡ったんだから?
絶対逃げ切れるし!楽しそう “
と 期待したけど
 ̄
そんなゆきが
飛行機に乗ってから その highな気持
ちが持続中の たった 1時間くらいた
った ころ?
もう すぐ …
着陸 の 前に
飛行機が島に向かって
低くなってきたら
窓から見える 海も 島も 眼下に近
くなってきて …
慎が云ったとおりに それは とても
キラキラに キレイで
なんだか 太陽の光でそんなにキレイに
見える? なら
ここの太陽も そんな海と島とも
仲良しで 横浜とは 違うモノ の様に
ゆきには見えていて
小さな飛行機の窓からでも見えた
それらに胸がワクワク高鳴っていたから
まだまだ ずっと 海をながめてて
そうしたら …
—
「 ね!
シン! あれなに?」
—
ゆきは
子供の様に窓にへばりついたまま
背中を向けているのに慎に話しかけ …
その海に 黒いいくつもの ゆきが
見えるんだから 小さくはないけれど
魚? が 群れをなしていて …
この飛行機とは反対の方向へ
その下を勢いよく すれ違い …
だから そのスピード感に圧倒され?
目が離せない様で
それに ゆきがもっと驚くのは
その魚? たちが
きちんと 整列して いて …
一列目の者たちは 後ろの者を先導する
様に 横並びでも広がる事無く同じくら
いの間隔をあけ
その後ろに続くそれぞれの列の者たちも
また同じ幅で それに続き
まるでリーダーに指示され?
行進していく様に 同じ速さで
浮かんだり沈んだりを繰り返しながら
自分たちで流れを作り
集団の強さで なにかに
たち向かう様な姿を?
ゆきは魅せられ
それを 偶然見つけられて
なら!
ラッキーで!
そんな幸運な自分は? まるで
その魚たちに 応援されている様に
感じてしまい だから興奮して
慎に尋ねてみたけど?
―
「 ん? あ …
あれは イルカたちだな …」
―
慎は それが珍しい事でもない様に
まるで 親しいい良友達を紹介する様に
得意げにゆきに教えてくれた
―
「 へぇー!
イルカって 集団で
キチンと並んで動いて行くのね!
列? キレイだし すごぉ~ぃ
仲良し? ねぇ!
イルカたちには この
飛行機見えたかなぁ?
寄ってきて くれたの かなぁ?
フフフッ♪
見れてヨカッタぁ~❣
力強くて 元気になる …」
―
ゆきには そんなにたくさんの友人や知
り合いはいないから それが 羨ましく
もあり 感心できた
そうして 下りた飛行機は
無事 島に着陸し
慎は 空港から出ると ゆきに周りを案
内する事もなく すぐに 慎の伯父さん
の家へ 向かう …
―
「 え?
シン 海 には …
往かないの?」
―
ゆきは 慎が " 島の出身だから海は
好き “ っと 云った事を思い出し
いまも イルカたちに興奮したばかりだ
し その海か気になって仕方なかったけ
れど
それに ここは 期待どおりに
なにも 窮屈な 圧迫感のない
穏やかな ただ なにもかもが
ゆっくりと 感じられる
そんなリラックスできる
ところに やっと?
せっかく? 着いたのに
でも?
もう?
なんで?
そんなに急ぐの?
みたいに そんな慎を
ゆきは不思議に思ってしまう …
でも
慎は いろいろ考える性分だから
まず 確かめないと ここでも安心 は
できないから まっすぐ そっちに足を
向ける
―
「 海は 後 でで 良いだㇿ!」
「 … うん 」
―
そんな 慎を見ていると
ゆきは
自分が逃げている逃亡者なのに
慎の方が
なにかから逃げていて
自分は
そんな慎にただクッツイテきた者の
様に思えてきてしまって …
そんな慎重すぎる慎の動きに
戸惑ってしまい …
でも
だからなのか …
慎が案じたとおりに
せっかく ここまで逃げてきたのに
もう ここでも?
―
「 まこと!
チョット コイ!」
「 あ?」
―
慎の伯父さんは 久しぶりなのに?
懐かしく再開した甥っ子を
笑顔で迎える事もなく
ふたりが目に入った途端に
その横に並んでいる 初対面のゆきに
挨拶する事もなくて …
ここも美しい空気に包まれ
日の光も穏やかに
そんなゆったりと
時が流れていたのが
来たばかりでもゆきには判り
初めての場所でも
なごんで 落ち着けて
いたのに?
そんな伯父さんの意外な 動きに
この場に緊張感が あっという間に
ひろがり …
空港からここまでの
そんな空気までを
覆ってしまうほど
そんな
険しい顔で慎の顔を見た 伯父さんは
慎の腕を引っ張り ゆきとは離す様に
慎だけを 家の奥へ引っ張り込んだ
ゆきは いきなりポツン と 知らない
家の 玄関先で ひとりにされる …
―
え? …
どうしたんだろ …
―
ゆきは不安がるが
独りぼっちではどうしようもなく …
それはこの島に似合う
開放的な造りの家なのに
でも ゆきからは見えない
その家の奥では
誰にも聞かれない様にと
気を使いながら?
それでも
その伯父さんの途惑い が 判る程
烈しい怒鳴り声が慎を驚かせていた …
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