知る …

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❀19.❁°˖✧ 「 知らないよな …  まだ   あなたと 結婚する前の話だし  でもな … やっぱり … 俺は   まことが大事で 心配だから   あなたが あの方の嫁さんなら  解ってやって ほしいんだ …         まことの事 …」           「 … はい 」 … 伯父さん ほんとに お辛そう に … ―        ゆきは 返事をしたけど                       この場面でも ただ受け身で  なにもする事も できない … ― 「 あぁ … すまんな …         ふぅ~!    大声出しちまったから     ちと 疲れたな …」           「 はぁ …」 ― ゆきは 手招きされて 家から離れる様に 畑の方へ案内されると そこに置いてある ベンチに 伯父さんと一緒に 腰かけた そこは 誰も居ない けれど どこからか 島の風が心地よく 吹いていて … 一面 邪魔をするもの は何もない から 透明に澄み渡り    拡がる 畑の緑も目に優しく … その先には藍を流したかの様な青さの “ 八丈ブルー ” の 海も見えるし 空気も 柔らかな    感じがした ―      … これ なの ね … ― ゆきでも これが 慎の云っていた  " あしたば ” だと 分かり それを よく視ようと そちらにずっと顔を向けて  それでも こんなに良いロケーション でも 気分は ハレる 事も なく ― … ワタシがシンを巻き込んだから    こんな 大ごとに なって … ― さらに ゆきは ここへ来た事で こんどは  なにも悪くない伯父さんまでを 巻き込 んで辛い目にあわせてしまっていて … それは ゆきには予想できない事だった けれど  溢れてくる 申し訳ない気持ちから  ゆきは 隣に座らせてもらっても  そちらには 顔を向けられずに だから  伯父さんの方へ向いている耳からは  聞き逃すことなく しっかりと ゆきは 静かに その話を聴いた ― 「 随分と前の事なんだ …   あのまことが まだ    ちいさかったときには   妹は 母一人子一人で      苦労 して て …   子育ては ひとりじゃ         大変でな …   まことを 育てるためにと   ちょうど 話があった   あの裕福な家に    後妻に入る事になって …   それが いつまでも   終らない こんな事     に なるとはな …」    「 いつまでも?        終らない?…」  … あの家って …   主人の実家? で なに が?  シンのお母さんに?        なにかあったの? …  ̄ 嫁ぎ先の家の事 は 普通なら? 知っていて あたり前 でも? ゆきは いたらなく 分からない事だらけでだから ただ この話を聴くしかなかった … ― 「 ぁあ … 妹は嫁いだは良いが  その家の一人息子と 相性が?   かな 悪くてな  あちらさんが後妻をと          考えたのは  その息子を思っての事  だったから それじゃぁ …  で … だからそれを気にして   いろいろ … 妹は      自分なりに尽くして  みたんだが それらも巧くは         いかなくて …  それで      疲れ切ってしまって       精神も 病んで …  無理だったんだ …   妹には … 俺にも      判らなかったんだ …  そんなに    追い込まれてたなんて  だから かな …  気づいてやれないまま  まことを のこして  妹は 自ら      終わりにしたんだ …」      「 慎さんを残して             自ら …」 … " その家の一人息子 ”     って … え? それ …    主人 で? の 事? な の … ― ゆきは なにも尋ねる事ができないけ ど やはり  こんなゆきにも? いきなり 踏み込ん だ 身内話を始められた事から は 自分が それにも関係している者なのか と ただ頷くだけ での 詮索を繰り返 すだけになるのだけれど それでも やはり " あの方 ” は  主人の事だろうと 判って … なら  慎の伯父さんが ゆきを歓迎するわけも なく それは     いたし方なく … ゆきは カラダの中も外側も ゼンブが 重く 呼吸も苦しくなってきた … それでも  辛そうな面持ちでも 伯父さんが話し 続けるのなら ここから逃げ出さずに 動かずに いなければ ならない と ゆきにも 分かる ― … でも? ワタシ 主人の事 なにも  知らなくて 結婚 しちゃってて …  主人の事 話されても どうしよ … … これは 悲しいお話でも シン側から見た 主人の話 だよ ね ― それでも ゆきには やはり    驚きと 戸惑いしかなく … ― 「 … あぁ まことは        その結婚は …  母親が自分を  育てるために で …  自分がまだ小さくて  そんな …  せい で  母親が後妻に入ったと …  妹が亡くなったばかりの  ころは それでまことも  独りになってしまって …  そんなまことが不憫なのに  それなのに まことは  自分を責めて …  俺も 腫れ物に触るように  そっとしておいたんだが  それでも 子供同士        だからかな …  あの方もまだ自分も  子供だったのに そんな  まことの事を きっと  母を亡くした者 だから  自分の事の様に     同じ様だと 思い  それで    気持ちが動いたのか … " 自分が悪かった  自分の せいだった ” と  まことに詫びてくれてな …」      「 … 詫びた?          んですか …」 ―      ゆきにはこれも意外だった …        ゆきから見た主人は 図太くて 動じなくて 威圧カンだしまくりの ふてぶてしさで いつも無表情でワニの様な なにを考えてるのか ゼンゼン 分かんなくて …            なのに? ―  … 主人が? シンに詫びたの … ― と⁉ いまさら ゆきは 主人という人物 が 分からなくな る
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