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❀20.❁°˖✧
「 ぁあ … だからかな
その時から まことの
母親を亡くした
さみしさなんかの気持ち
も 相まって な …
あの方を 憎んでしまって
たぶん 自分の 辛い
気持 なんかを
ごまかしたくて… 」
「 気持ちをごまかす …」
… 主人が シンの義兄 で …
自分と同じ様なシンに同情し
" 自分の せいだった ” と
詫びたから? シンは
主人を 憎んで?
寂しさを主人への憎しみ で
ごまかした の? …
―
ゆきは 急に
時が 往ったり来たりで …
その 幼心も傷ついた悲しい事から続く
慎と ゆきの主人と その2人のあまり
に違い過ぎるいまの状況?に
それにも 自分だけ
いたり? いなかったり? で
だから …
それを 理解しようと は するけど …
―
でも …
伯父さんでも? 事の全部は
知らないのかもしれない
だろうし …
まだ シンからも 主人からも
なにも云われてないし …
2人の気持ちは …
きっと …
2人とも 子供だったんだもの
だから 同じ … 辛かったんだよね …
… ワタシ ふたりの間にいるのに
なにもできないのかな …
―
と 複雑で …
それは …
ゆきだって ほんとうの事を知るのには
なにかが足りないままだから
ゆきの内側では どんよりとして
曇り空みたいに 重く感じるけれど
いまも お話は 続いているから
聞かされた話を 繰り返すだけで
ゆきは 頭の中も忙しくても
カラダは 固まった様に 動けない
―
その目には
美しい緑が映っているのに
風も吹いていて ゆきの肌にも
それは まとわりついているのに
それらを感じられないくらい
自分だけ それらからも
切り取られたみたいに
なにもかも停まった様に
なっていた …
―
「 ん ぁあ …
まだ子供だ ったからな
そん時は それ も …
仕方ないと思ったけど
それでも まことが
大人になっても まだ
その憎しみは
残ったままになったみたい
で … あの方は
自分が先に大人になって
からは 保護者の様に
いまでも
まことを気遣い
まことがあっちの大学
だったから 側に来るって
喜んでくれて …
ちゃんと世話をしてくれてて
あっちでの住まいや
その大学の卒業後の
仕事やら … もう ずっと
面倒をみてくれているが …」
「・・・・」
―
ゆきは また 驚かされた …
―
… え? 主人が面倒を?
… たし か …
主人はシンより … たぶ ん …
7つくらい上だっけ ? …
先に大人? それで なの?
あのマンションを? 主人が?
用意したの? 就職も? な の?
だから あんなにすぐ? マンションに
主人は来て 部屋の中にも入れて?
でも …
あの仕事も? じゃ …
やっぱり! 主人は
何から何まで?
できる の ? …
え! それ …
そんな の!
ワタシの事だけだって
思ってたけど …
ダケ じゃなく?
シンにも だった の? …
―
ゆきは シンへの 見方が変わる …
これは 慎の事なのに
自分の事も思い出し …
慎と 自分が かぶって きて? …
眉間に力が入り 口をギュッと 噤んだ
―
「・・・・」
「 … まことは
あの方に甘えっぱなしで
それで 自分のうっ憤を
はらす様に … きっと
" 兄さん ” に!
反抗的にも したりして
" 兄さんだから ”
甘えて!
そうして 寂しさも
紛らわしているんだろうが …
あなたは …
そんな二人の仲に
巻き込まれて
振り回されたんだな …
まぁ … それも?
あの方もきっと 解かっては
いるんだろうが …
だけど 今回の は?
さすがに あの方も
そのままには だな … 」
「 ワタシ …
… 振り回され?
た ん … ですか?
でも 慎さん は!
ワタシの事を
心配してくれて …」
「 … そう か …
すまんな …
あいつは いまも
あの方を憎んでる
から …」
「 そんな …」
「 でも な …
まだ いまなら …
あなたに …
" 義姉さんに
島を 見せたかった “
で 済むんじゃ
ないか な と …」
「 … そうですか 」
—
ゆきは
義兄弟の話を 初めて聞かされ
驚いてはいても
ここで
慎と行動を一緒にする事が
騒ぎになるほどの事になってしまってい
たのにも ほんとうに申し訳なくて
そんなつもりはなかったから
ここの誰にも迷惑をかけたくないと
思って …
なら … どうし よ …
と 考えて み る … けど …
こんなカンジになってくると
こんなゆきでも迷いは大きくなる …
—
そう な の …
… だっ て …
―
ゆきには " でも … ” と
聴かされた
お話の重さに慎重になる
それは
" たぶん … ” きっと? ゆきの
知り得ない " 事 ” も
まだあるのに …
だから … ここに居られない …
と ゆきには判って も …
だから … 自分の行き先を …
考えてみて … も …
このままじゃ やっぱ り …
慎とも そのまま と も いかず
主人とも そのまま と も いかず
だから " … どう し よ … ”
と なる …
―
そんな ゆきを不安にさせ 惑わす
ゆきの知り得ない事 とは …
慎の義兄だ と
伯父さんからおしえられた
ゆきの主人は …
その名は " 䨩 ” で
名の呼び方は " レイ ”
だけど
ゆきよりも12歳上の
その主人の子供の頃は
まだ この国でも 個々の犯罪の
線引きが 難しかったのか …
裕福な家の子を狙った犯罪の
情報操作も難しく?
たとえ公開捜査でなくても
新聞で目にする事も 多く …
そんな 䨩の 子供の頃 …
その大きな家の者たちは
その家の一人息子を護るためにか
外からは 隠す様に?
周りの者には 当時の男の子に多い
" シ ン ” と 呼ばせていて …
その 家の中でも 姿をみせない程
奥の部屋で 大事に 大事に
護られながら育てられていた …
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