知る …

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❀21.❁°˖✧ 䨩はそれでも独りには されず いつも母がそばにいてくれた だから母だけを見ていて その母が 大好きだった それを父が母にさせ 他の家の事などは        その母にはさせなかった それは … 大事な 息子を護るための         それなのか … その家が ひとり息子に 期待する 大きさ? も 判るほどの事だけど … ときは過ぎるから そうされていた のも    もう過去の事 で … だから ゆきもそれを知らなかった だけ なのに 慎は それでも? ゆきには解ってほしかったのか …  ̄ " シン ” は  ほんとは " まこと ” なのに ぜんぜん 姿をみせないけれど 自分までもその家で何度も聞いていた  そんな義兄の 当時の呼び名を    ワザト ゆきに謂わせていた           それは … 最愛の母を亡くした 自分の事を憐れみ? いまだに ずっと  自分にはその姿をみせないくせに カタチだけは? 無償の兄弟愛のごとく に?  偽善者ぶって? 自分に手を差し伸べ続ける そんな 義兄への反発 憎しみ から  その強い気持ちが湧き出て 心がゆがみ それゆえ その義兄がなによりも愛おしく思ってい るゆきへと それを?  向けたのか …  慎は … 偽りの自分を作り上げ ゆきに近づいて 義兄から奪い 戦利品の様に ゆきを 自分の傍に置きたかったし 自分に懐いたゆきに  その義兄の名を あえて 自分に向けて謂わせ そんな事? で 手に入れた かりそめの満足感? までを 得ようとしていた  のか … ゆきは こんなんだから そんな事とは 全く 気づけなかった               けど? —   … でも シンは … チガウ …    そうじゃない と 思う …   ワタシを 大事に …     思っていてくれてたから … 主人だけを見て こうしたんじゃ ない と          思う … — ゆきは 伯父さんに云われても        肯けないでいた … — その 主人は 初めてゆきに出会ったとき …   慎 と ゆき が 重なって … — 義弟の慎と同じような境遇の 母一人 子一人 の ゆきを ゆきの就活中  知人の大学教授の薦めから知り … 数いた候補者の中から 唯一 ―      「 ん? この娘は …」 ― と もう ゆきから目が離せない ほど で …          そのときの … ゆきは 小さく細く  控え目に暮らしていたからか  色も白かったし   偶然? その幼かった義弟の姿と  そっくり で … とても中性的な マニッシュなゆきの 子鹿の様 な 感じが … いまも自分が解りあえていない 気に病んでいる 幼くして 母に手を引かれてやってきた あの当時の義弟の姿と重なって 見えた ― だから か 知り合ったばかりでも?     ゆきを 放っておけない … だから か 半年足らずでも ゆきを 自分の妻としたし          そうして  ゆきを自分の目の前に置いたから? それに より 忘れては いけない その昔の事も ゆきを見るたび 思い 起こさせれる … かつて   自分の生母を亡くした後も ずっと その生母を 想い慕い … ― … あの時 は …    まだ まだ 子供で …     大人の事情を     分からないまま … あの父はそれも 俺のために そうしてくれたのに          でも … ― " だから 絶対に嫌だったんだ! ” その人を 自分の継母として 生母と過ごしていた 家に 入れる のも 母と 呼ぶのも … ―        " 認めたくない ” ― なにもかも その人がする 全ての事を 受け入れるのも認める事も できない! ― " 母さんが消えていくから   ダメなんだ! この家に     居られㇽ のも 嫌だ! ” ― 多感期な思春期の少年からミエル             その人が  父の想い までを 生母から奪い 注がれていく …              のを 生母を想い続ける自分には    耐えられなかったし その人が たしかに女性としても        魅力的だったから … この家は 大きな家とはいえ 昔ながらの日本家屋では 防音効果は あまりなく … 夜になると 繰り返される … 主寝室から 洩れてくる 父の 荒い息遣いと その 女の喘ぎ声 は ―   " 生々しい生き物の様だ ”  ― と 息子の 䨩は 耳を塞ぐほどの 苦痛で 悩まされ…            眠る事も できない … それでは休まらず 横になっていても        目つきは 鋭くなり なにもしていないのに     気は 荒ぶる … そんな 気持ちは … はじめは 父に向かい 自分と同じ様に? 自分の生母だけを想い続ける 父であってほしかったから それなのに … と 父から 気持ちは離れ … そうしている そんな大人な2人を軽蔑し  さらに それは …  向かい先を変え それほど 父の想いを奪った  その人を   疎ましく思い … だから  生母との想い出の詰まった 家を守るためにも 現実に 居る 目のまえの  その継母を 邪見にしてしまった … ― でも … その 事 から なのか … 本人が思い測りえない事へと 事態は動き … 
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