白と黒 …

1/9
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ

白と黒 …

❀23.❁°˖✧ ― そんな そこ は  日本で一番大きなデべが開発した         横浜のニュータウン  家の敷地は 150坪ほどで 輸入品を多く使用した         家のグレードは高く  セキュリティーも そこ一帯  大手のセキュリティー会社が 24時間 パトロール巡回もしながら 専用の防災 センターも設けて管理してる           家の鍵は電子錠 … まるで日本じゃないみたい な …  䨩が その家を購入し そこで生活を している  " 事 ”  を この セキュ リティー会社は シッカリ と デべから引き継ぎ  いつも気にかけ その家の購入時に 䨩を  " 調査済 ” のこのデべは  䨩がそこに住み続ける事を 自分たちに善い様に意味づけようと … — 「 こちら お住いの具合は      いかがでしょう …  不具合など お気づきの   事 が 御座いましたら   すぐに 御手直しを     させて戴きますが … 」        「 ん …           ありがとう … 」 — その会社のお偉いさんの方々が ときに 黒く光るピカピカな車でわが家へお越し になって 部下ともども   玄関先で 黒い服の主人 と 白い服のワタシに 頭を下げて挨拶をする事 も             何度も ある そんな … そこの家はどれも立派で それらの家に は 凄い車が何台も留められていて … そこは このデべに 選ばれた者 だけが           暮らしている … — それほど な そこの方々は " 電車通勤 ” を 必要としない方々で …  お隣 川崎の大手電機メーカーの副社長 さんや 東京国際空港に乗り込む飛行機 が待っているパイロットさん  近くの大学の教授 いつも忙しそう に 世界を駆け巡っている外交官のようなお 仕事をしている N●Kのご主人に 横浜を中心に全国で活躍している弁護士 さん の方々 や … 横浜にチームの本拠地がある  だれでもが知っている 有名な野球選手や サッカーのプレーヤー とか … 撮影スタジオまでの アクセスも 良いからか ? 名の知れた 男優さんや 放送作家の方々も 居る そのせいか  そこの宣伝にもなるからか 近所で ドラマの撮影をしている事も ある そんな環境の中の生活 では  主人の " 格 ” の ため にも なにもしない    ワタシ … それでも " 夜 の 事 ” の ために … ワタシがこの家の中で 唯一 あわてて動くのは その時 だけ シャ----------! 今日も 主人が帰ってくる前に その 時間を気にしてシャワーを済ませる …         「 ふぅ------!」 ワタシは 夫のことを ヒトに話す ときは " 主 人 ” と 口にする 主人は ワタシの ことを ヒトに 話ときは " 妻 “ と 口にする ワタシは 主人が稼いだお金で生活し 日々のほとんどの時間 その静かな家の 中だけで生活し 主人が帰ってくるのを いつも 独り なにもしないで 待って いる      主人の気に障る      余計な事をしないように … ― そう その 䨩の強い思いは … ゆきを妻とし スタートさせた生活の様も異様にし かつて … あの大きな家の中で 隠される様に護られていた 自分だったから … それが 愛情だと思い ニギヤカナ場所から離れたそこに 住まいを移し … 自分の家とその周囲のセキュリティを 完璧なものにしたし 若い自分が 苦い思いをした " 夫婦の寝室 ” は  防音効果もある 壁で囲い 窓を設けず 外からも見えないもの と したし 音を漏らさないため 分厚いドアにも した … ― そして … 䨩のゆきへの 思いは … どこまでも 思慮深く … けっして 不自由な思いはさせまいと 至れり尽くせり で ふたりの生活の場では 父がそうしていた様に ゆきに 家事をおしつける事もなく 自分の事でも煩わせる事もなく 人を雇い ゆきを 解放していた         つもりだったから … ― … パタン 寝室から出て往く 主人は もちろん 今日も仕事で ワタシが そのまま 横になったまま 起き上がらないから  独り 朝の身支度を整え  自分で入れた黒いコーヒーを口に含むと そのカップと 一緒に玄関へ進み              … ゴクっ !ゥイ---ン お気に入りの肌触りも良いカップと共に   スポーツタイプの黒い車に乗り込み ゥイ---ン! ドゥル ン        ブゥォ ――――ン!           仕事で 出て往く その 耳障りな地響きするエンジン音も 主人と一緒に動いていた 拡がって漂う 大人なコーヒーの香り も  音の漏れない " 特 注 ” の ドアが閉められた 寝室のベッドの中に居る              ワタシには             届いてこない        ワタシは そこに独り           「・・・・」 夢の中でも 起きていて も  独りだから ワタシは もう 動かずに なにも 喋らない そう … 家の中も  ワタシ 独り だから まわりには なにも物音もしないし ここは静か … ― 䨩は 自分がそうして育てられたから それが 良い事だと思っていたのか    䨩が創った家でもそうであった ただ その家では ゆきが独り なのは かわいそうだから  だから䨩は ゆきに仔犬も与えたのだが … その仔犬は 残念にも その 死が速く … その 仔犬の死は  䨩には想定外だったし  ̄ … それがなければ こんな事には    ならなかったのかもしれない … — けれど それ だけでもなく …      䨩を理解しようとすれば … その目は ゆきの母にも向かっていて 継母にできなかった 事 の           後悔の思いから  罪滅ぼしの様に? しっかりと手を差し伸べ … それは ゆきから母を奪う事なく 独りぼっちにはさせない と その母を も  自分にできる すべを使い ゆきのためにその母も 護ってきたつもりでいた … でもそれも  䨩は ゆきがその事を負い目の様に 思ってしまっていたとは 知らなかった
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!