白と黒 …

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❀27.❁°˖✧ ゆきは 慎から 離れて … ぽツリ …  ぽツリ …         唇は噛みしめたまま        カラダの内側だけの聲で 慎に 語りかける様に … — … シンも 苦しかったんだ ね …      でも 一緒に は … もう …       いちゃ いけない と思う  シンは独りぼっちじゃないよ …             ワタシと        ふたりきりでもない の … シンには 伯父さんもいるもん …       だから     これ以上 は … ダメだよ …           あの ね … さっきまで … こんなワタシ なのに 隣に座らせて もらって … 伯父さん  穏やかに話されてた …            きっと …   その内側の 苦しみも   辛さも 寂しさも 魅せない様に … それ … 伯父さん … は シン を 思って の だもん ね … だから         止めようよ もう … 伯父さんにだって 迷惑 かけたくない もん …  … サラサラサラ ---       … サラサラサラ --- — ゆきは … 突然 騒ぎを起こし 現れた ゆきに いきなり 迷惑をかけられたのに それでも 突き放さずに横に並んで …      ゆきにも向き合ってくれた 慎の伯父さんの 大きな優しさも 苦しかったから … ― でも … ワタシ じゃ …          おさまらない ね … —      とうとう ゆきは …        離れている慎に向かって       大きな声を出してみた … —  「 … でも ね! …     まことさんの気持ち        分かる けど! …   それを … して        あげたいけど! …   できなくて! …           ワタシ …    ほんと ダメだね …           一緒に! …    できなく て!        ごめんなさい! … 」 「・・・・」 ― ゆきの そんな の …  聞かされたのに? 慎は そこから動かなかった … このとき ゆきと 慎の 間には 十分な距離が 保たれていた        なら やはり …  慎は  ゆきの方へ腕を伸ばしたまま だけど …  ゆきの気持ちを探り 試して? ゆきに決めさせる? つもりだったのかもしれない けれど …  … サラサラサラ ---        … サラサラサラ --- ― ゆきは  … 呼吸も浅く 眼は見開いたまま でも そこからも また ひとりだけで 動き出し … ― … 動いて る?…  自分のカラダじゃないみたい …          … おも い な … ―         ゆきは          慎と離れ るの が  それほ ど " 引き寄せられて ” る … と カンジて る ままだから … 自分のカラダを動かすの も 慎から離れるのも           躊躇い? ゆきは まだ … グズグズに カラダも 思いも 揺れて る  けれど …  … サラサラサラ ---     … サラサラサラ --- ― あ … … ダメ … ぼぉ~っとしてる?           ワタシ … なに? してる ん だろ … 伯父さんにも ご挨拶  できなかった な ワタシ …  ̄ どうにかしようと … 自分から 慎を追ったのに? そこに まだ立つ  慎を独りにして? … … そんなゆきを ずっと いまも    慎は 目で追っているのに … ゆきは 慎から            離れると … 無理やり違う事を考えると       足を引きずるように   動かし カラダは重いままでも … ― … でも なにもできなかったから  伯父さんには なにも 報告も?         できない し ね … … どう し よ … ほんとに …  できない の ?… ワタシ じゃ … ― そんなに  頭の中はグツグツと? カラダは グラグラ? なの に …        いつのまにか        ゆきは フラフラ と … 手持ちぶさたに だらんと伸ばした手には         スマホも持たずだし  それに … 慎からも誰からも けっきょく この島は案内されていないし        だから 慎から離れたら          この島の中 で は … なに者でもないから 島のなにも分からずに   ゆきには どこへ言って良いのか        見当もつかない から …         どうしようもなく しかたなく? … 暫く使わなかった あの cardを もう一度 ひっぱりだして …       それを じっとみつめ … —          「 䨩さん …」 ― ゆきには それだけしかないし …  … それだけを また 握りしめて … ― 「 なにもできない …    情けない … ワタシ … 」 ― ゆきは … この島に入るのを あんなに楽しみにしていたのに … ―    「 この島に      きらわれたのかな … 」 ― ゆきの足は  ふわり… ふわり… 大きな虚しさと?  何度も出てくる後悔と … それならもう 最後に? … ゆっくりと 辺りを見回し ながら … 澄んだ爽やかな水色の空と 濃い緑の 葉の大きな背の低い樹々と      八丈ブルーの 海 … を       傍にカンジ ながら          ゆっくりと 歩き … それは … ゆきは ようやく?  自分を追ってくれている 䨩に  " 見つけてほしい ” と           思ったのか … それとも これで … なにか 区切りをつけて 自分から あの家へ戻れる のか … それとも もう ひとりきりで と … なのか … ― 「 こんなに …  気持ちのいい風も  ワタシを包んで " おいでよ ” って?…  まだ … 誘うように  吹いているのに な … 」 ―           ゆきは ひとつ … そのあたたかい風を カンジて   それを 覚えておきたいと?         静かに 立ち止まると  眼の奥 … カラダの内側にも残る様に 目を閉じて … 胸に手をあて         深く 深呼吸をして … この島の 小さな空港へ と          向かった ?…
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