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❀29.❁°˖✧
䨩は … 自ら ゆきが 自分に
凭れ掛ってきた事で
そんな事をスル
ゆきじゃ なかったのに と …
いままでと違う ゆきの気持ち
自分に対する 思いの変化に
気づいたのだろうか …
それで ?
この場でも ゆきは慎と
一緒にいるのに これなら … と
そう
䨩は安堵? できたからなのか …
それは この2人には 見えなかった
くらいの それくらい 一瞬 だった
けど
䨩の 口角は わずかに 上がった …
そして スグに また
䨩の面持ちは 神妙なカンジ の
非暴力的な 無抵抗の者の様にと
変わり …
それは 効果的に
䨩の様子を探る?
揺れているゆきの 心を つかむ …
―
「 ふ ------
慎 … なぁ 頼む …
いっとき しか …
ココに居られない …
悪いが
連れて行ってほしい
… 母さんの
墓参りが したい …」
「 …え?」
「 は?」
—
ゆきと慎は ふたりでぽかん? と
してしまうほど
急な䨩のそれには
驚いた …
… サラサラサラ ---
… サラサラサラ ---
―
「 っつ!」
—
さすがに …
それはあまりにも意外過ぎたのか
慎は 息を呑み 動かなく なる
けれど …
慎は
䨩がゆきを追って来るだろうと
考えて いたのなら
最終地点を 八丈島にしたのも
なにかしらの考えがあっての事
かもしれないけれど …
そんな䨩に
ゆきは …
―
「 シン …
ワタシも!
お墓参りがしたい
連れ … てって
くれ る?」
「・・・・」
—
それで …
ゆきは 䨩の横 に 並んだ …
ゆきがそう 云いだした途端
慎は さらに辛そうな顔になる
—
「 俺は …
これからだって
いくらアンタが
俺に物を恵んだって
絶対に 許さない …
ずっと アンタは
そうやって
自分がやった事から
逃げてる だけなんだ
ゼンゼン
チガウ だㇿ …
そう謂うなら
pose だけじゃなく!
母に … ちゃんと
頭を下げㇿ …」
—
慎は呻る様な声を義兄に向かって吐き
するどく䨩を睨みつけた
―
「 … あぁ 」
―
その問いに 真剣な面持ちで
ゆきの主人 の
慎の義兄の 䨩は応えた …
… サラサラサラ ---
… サラサラサラ ---
—
兄弟の想う ふたりの母のお墓は
ここ も …
海が見渡せる静かな場所にあった …
いまも …
波は穏やかで
ここに吹く風は 少し強く
大きく 懐が深い海から漂う
生命力を感じる その濃い香りも
気が立った3人を落ち着かせ
すべてを受け入れ
見守る様に 優しく包みこむ様に
それを3人に 分からせる様に
ここの風は運んでくれている …
… ヒュ------
… ピュ-------
―
「 ここが お母さんの
眠る 場所なのね …」
—
ゆきは もう さっきとは違い
すっかり 䨩の妻として 自由に動ける
カラダを左右に可愛らしく揺らしながら
眼下に広がる海を やわらかい眼差しで
水平線までをなぞる様に
遠くまで眺めながらそう呟いた
… ヒュ------
… ピュ-------
—
「 ぁあ …
この海の近くにな …」
—
そんなゆきに寄り添うのは …
並んだ慎も 海を眺める
すると …
䨩は その2人からは離れ
小さなお墓のまえで跪き …
その いつもの
高級なスーツ姿のままなのに?
膝も 額も そこの土につけて …
伏せた體は
わずかに震えた様に
ゆきと 慎から は 見える
その姿は 大きな背中なのに
子供の様に 小さく丸めていて …
あの いつもの厳めしさは 全く
カンジ られ ない
―
… え?
―
その様 に ゆきは驚き
なぜだか 無意識に? カラダが動き
サッ と!
慎から 離れ 䨩のもとへ
駆け寄る …
…タタタタタ
けれども
ゆきはそこでも立ち竦む
どうして善いのか分からずに
手を出せない
慎も 口をわずかにヒラキ
離れたまま 動けなかった
䨩は やはり したたかなのか?
これ …
2人が気づくまで
アピールする様に?
そのまましばらく
その 姿のまま で …
ゆきは ようやく 傍に
しゃがんで そんな 䨩の
まあるくなった背中を
ゆっくりとなでてやる
そんな䨩 は
伏せていても その
優しい手の動きがゆきだと
判ったのか
震えは収まったものの
小さな 嗚咽が漏れた
きっと
伏せているから見えないけれど
その見えない姿のまま に
涕していた様だった と
このときもう 䨩 寄りに なっている
ゆきには そう 思えた …
それは いままで
ゆきに見せた事がない
カンジだったから!
だって …
ゆきの知ってる " 主人 ” の 䨩は
獰猛な!
ワニの様だったから!
でもこれは! とても
人間味? の あるカンジで …
だから ほんとは
䨩が伏しているのだから
見えないはずなのに
きっと! これが 䨩の
心が解かる その姿 の 様な
気が した
そして …
そんな姿は ゆきだけではなく
慎からだって 視えているはず?
で! だから!
ゆきは 慎も気になり
振り返ってみたけど
慎はもう そこには いなかった
だから! 変わった?
この䨩の姿を!
慎が視たのかは
ゆきにも
伏せている姿のままの䨩にも
解からない けれど …
―
「 これ …」
—
慎がいない事が分かったゆきは
いつまでも伏せたままの䨩が
可哀想になって …
その姿を 見るのも 辛くなって
とうとう 声を かける …
―
「 ん? 」
—
䨩はようやく 貌をあげ …
ゆきは その額についている土を優しく
手で許へ戻し もう必要のない card
を 䨩へ 返した …
―
「 どうした?
これからも使うだろ?」
―
䨩は それに驚き これからも
" ゆきの夫として一緒にいる ”
事を願う …
その 困った顔の䨩に ゆきは …
―
「 … ううん
返すの もう
使わないから … 」
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