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❀30.❁°˖✧
ゆきは そうする事で
" これからは
いつも一緒にいるから ” と
䨩に 伝えたかった …
—
そうして ふたりは
もうここに慎がいない事も
気にせず また お墓に
きちんと並んで 向かう
―
「 … 慎は
優しいヤツです …
本当は 私の気持ちを
解って くれてて …
慎がこうしなければ
きっと … 私は
島には
来られなかったし
墓参りだって …
… 私は ずっと
あなたの墓参りは
させてもらえないと
思っていたから …
だから この島に
… 来るのが
恐かったんです …
あなたに 言わなきゃ
いけない事も
あるのに でした …
… ありがとう …
ございました 」
… そうだったの …
―
慎の兄の䨩はお墓に向かって
報告するように 呟いた …
…パサッ
そしてようやく䨩は
再び ゆきの方へ振り返ると
—
「 … そろそろ …
還る か? …」
「 … はい あなたと …
いっしょに …
あの家へ 戻ります …」
—
ゆきは迷わず スグに返事をした
このとき もう少し 慎重 に
ゆきの分からない䨩のいままで事を
本人に確認しておけば良かったのに
… でも まぁ
なにはともあれ? ようやく
想いが
通じた?
ふたりの
新しい生活が
これから 始まる …
…サラサラサラ -----
…サラサラサラ -----
―
ふたりは
飛行機に乗り込み
並んで腰かけると
もう ほかのなにも見えない様に
おたがい 見つめ合い …
―
「 … それでね
みつけたペットショップに
あのこと! 似てるこが居るの
まだ お店に居るのか心配で
だから お家に戻る前に
そのこ 迎えに行きたいの 」
「 … うん
そうしよう な 」
—
ゆきは 初めて
思いっきり の! とびきり明るい
笑顔を 䨩に 向けて
嬉しそうに話した…
でも …
その店は 慎と訪れた あの 店なのに
ゆきは ずっと あの仔犬が気になって
だから
明るく! 言ってみた!
䨩は
たぶんそれを分かっている
けれど
たった一言だけの返事で
優しかった …
ゆきは この䨩のワニ顔が恐くて
いままで そんな䨩の顔を見る時は
緊張して なかなか 慣れる? 事も
できなかったけれど もう …
―
そう … でもね
ワタシ 強くなれた気がする …
だって … 本物のワニにだって!
家族はいるでしょ!
―
まぁまぁ…
ここでは 䨩の優しさも?
その人柄も? 判った様で?
—
… だか ら …
これからは 䨩さんに
ナンデモしてもらうんじゃ
なくて …
そ! ハーブティーを 飲む時も!
䨩さんとワタシの食事のお料理 も!
ワタシが! キッチンに立つの!
そ う よね …
ワタシ! お料理教室に通って
できる事 増やしていって …
頑張って! " 家事 ” します!
ムフっ! 䨩さんがお仕事終わって
帰宅するまで あのこと一緒に
お家で待ちながら …
―
そう …
この時のゆきの気持ちは本当に
䨩に向かって いた けれ ど …
それは 今までの自分を顧みて 悔いた
ゆきが 䨩を思い遣って 出てきた
だからこれは " まごごろ ” 込めた
おもてなしの様で " お努め ” で …
だからそれは 男女の 恋愛感情 の
" 愛 ” とか " 情 ” とも?
少し 違って いたの か
だから あの家に 戻ったふたりが
いざ ふたりの生活が始まってみると
それは 簡単なほど もろく …
だから あの家の中に 外から急に
強い風が吹いてしまう と
ゆきは また
揺れてしまって …
でもそれも
いまの このふたりには まだ
考えられない事 だったのかも
しれないけれど …
―
「 ムフっ! あのこ …
ワタシタチの
赤ちゃん? に!
なるのね … 」
「 ん? 」
「 䨩さんが!
パパ! 」
「 ん? 」
「 ワタシ!
こんどこそ!
ママに
なるんだもん!」
「 … ん
そうか … 」
… そ!
弱いこだから
こんどは ちゃんと!
守ってあげなきゃ! …
―
ゆきは ただ それを楽しみにしていて
䨩は ゆきを想っているから ゆきが望
むなら それをきちんと守って ゆきと
その仔犬を護ってやろうと思っていた
そして …
ふたりが 島から離れた
その少し前
すっかり
もとの のどかな島に戻った
ここには …
また新たな
違う風が吹いていて …
—
「 ねぇ! なにやってんのよ!
やだ---! あの女!
戻っちゃったじゃない!」
—
飛行場からは離れた処 で?
小さく見える飛行機に目をやり
ふたりを見送る慎に
カノジョは
背後から近づいて た?
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