お料理上手

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 2人の育休期間が終わると、どちらかが飛んで帰って食事の支度をすることになる。人参を擦り入れてとか玉葱を死ぬほど炒めて、なんてまで手の込んだことは要らなくなったものの、絶対的に時間がなくなった。  そして晩ごはんだけじゃなく、娘のお弁当作成作業発生。  ついでだから同じお弁当を3つ作る。自分も食べる側を兼任する中で、明らかに失敗作とわかるやつも頻出。特に最も頑張って作ってみたキャラ弁。蓋を開けたら面妖な化け物が現れたので一度でやめた。ダンナもこういうのは苦手。巷では上手な人も多いのに、我が家じゃ難易度が高すぎた。  難易度を下げても、隙間時間を注ぎ足すだけじゃ回らず、睡眠削りまくり倒し。 「今日から時短優先で考えよう」  それには。 「冷凍だ」 「冷凍ね」  そもそもの冷凍食品はもちろん、週末にまとめて野菜や肉や魚を買ってきて、とにかく冷凍した。玉葱、人参、ピーマン、きのこ、ブロッコリー、ホウレンソウ。一度茹でておいて冷凍室へギュウギュウに押し込む。切った野菜がくっついた固まりのまま外れなかったり、レンジで解凍中に煮えてしまったり、火が通り切らずに生っぽい触感だったり。  いいよね。  ちっちゃいことは気にしない。大昔の芸人のフレーズが大活躍。いいのだ、自分達がよければ。ということにした。  それからコンビニやスーパーの出来合いの総菜を一品二品としてもOKとする。だってどこでもたくさん売ってるのに、利用しないという選択肢はない。 「手作りこそ最高」「手抜き料理はけしからん」て時代もあったけど、昨今はあちこちで時短料理の知恵が紹介されているのが助かる。毎日料理を、のは、いくら好きでも大変だと、当事者ならよくわかる。料理好きとはとても言えないあたしなんか苦行の域だ。  今更ながら父が「今日はレストランに行くか」と言ったときの母が嬉しそうだった理由がよ~くわかる。 「奥さんがサボっている」「楽することばかり考えている」とか言う方は、ご自分で数日間おやりになってみるとよろしいだろう。  別に自分が食べたいわけじゃない。ただ速く手間なくバランスもいいやつを選ぶ。けどそんな時短料理も、なかなかイケると思った。
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