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2.定家の継承した伝統~百人一首から
わたし:百人一首でいちばん古い和歌ってわかる?
なぎさ:わかるよ。第1番の天智天皇の、
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ
わが衣手は露に濡れつつ
でしょ。
わたし:うんうん。
なぎさ:でも、なんで天皇が田んぼの小屋なんかにいるの? 追っ手から逃げてるの? 壬申の乱?
わたし:違うよ。めちゃ違う。農民の苦労に思いを馳せた名君の歌なの。百人一首の最後は?
なぎさ:99番が後鳥羽上皇で、100番がその子息の佐渡に流された順徳上皇だよね。
百敷やふるき軒端のしのぶにも
なほあまりある昔なりけり
だね。天智天皇も順徳上皇もどっちもいい歌だよ。
わたし:うん、御製なのに、きらびやかどころか、わびしさ、寂しさを感じるよね。
なぎさ:わかるよ。日本の伝統美ってそういうのだって言いたいんでしょ。
わたし:ピンポーン。時に「しのぶ」はノキシノブだろうね。古い茅葺屋根に生えてるやつ。……2番は天智天皇の娘の持統天皇だよね?
春過ぎて夏来にけらし白妙の
衣干すてふ天の香具山
なぎさ:さわやかでいい歌だね。……あ、親子の天皇で始まり、親子の上皇で終わるのか。やるじゃん!
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