2.定家の継承した伝統~百人一首から

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わたし:天智天皇が1番の和歌をいつ詠んだかはわからない。というか、詠み人知らずの歌だったものが天智天皇作として、後撰和歌集に収録されたみたいね。 なぎさ:にゃんと! 慈悲深い君主の話は創作だったと! そんなこと言ってまずくない? わたし:あちこちに書いてあるよ。で、この歌は天智天皇が40歳の時に詠んだと仮定して、666年でどうかな。 なぎさ:お、666年とはなんか謎の和歌をめぐるホラーか? 好物だよ。 わたし:ちゃうちゃう。定家の意識として、これくらい古い歌だと思ってたんじゃないかと。 なぎさ:ふむふむ。それで? わたし:1番の天智天皇、2番の持統天皇、3番の柿本人麻呂、4番の山部赤人、6番の大伴家持は万葉集に和歌が掲載されている。万葉集は759年までの歌が収録されているってことなんで、7世紀から8世紀の…… なぎさ:やめてー! 666年が7世紀、2022年が21世紀って、どうしても馴染めないの! わたし:暗算しなきゃいけないもんね。わかった。世紀は使わないようにするよ。……で、天智天皇の時代から100年くらいあるわけ。 なぎさ:ふむ。で、5番の猿丸太夫は? わたし:謎の人物だけど、古今和歌集の真名序ではいにしえの人だとされているね。  奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の  声聞くときぞ秋はかなしき 80909b3a-cf03-4330-a999-03ebf928f40d なぎさ:この歌には2つ疑問があるね。 わたし:聞こうじゃないか。 なぎさ:もみじと鹿ってなんというか、見覚えがあるような。 わたし:これじゃない? 5cf14d49-f87d-4446-a37c-c4e96d069f0e なぎさ:花札だぁ。猿丸太夫は花札しながら詠んだの? わたし:逆でしょ。ちなみに鹿がそっぽ向いてて、この札が10月だから、シカトするって言葉が生まれたとか。 なぎさ:ちなまれたね。 わたし:で、もう一つは? なぎさ:鹿ってどんな鳴き声なの? わたし:ググればすぐに出て来るよ。ドアがきしむ音と赤ん坊の泣き声を混ぜたような。 なぎさ:……お、おう。山の奥から聞こえればいいかも。 わたし:ふふ。かなしって悲しいだけじゃないしね。
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