青木大吾

4/5
前へ
/11ページ
次へ
 7月下旬頃まで、エンジェルズはリーグ全6球団中4~5位あたりをうろついていた。が、8月に入って最初の試合、思わぬ転機が訪れる。  その試合、渋谷が終盤に二本のホームランを放ち、エンジェルズは大逆転勝利を収めたのだが、その日を境に、渋谷の打撃成績が急激な上昇カーブを描き出した。  また渋谷の覚醒に引っ張られるような形で、チームも驚異的なスピードで白星を積み重ねてゆく。  9月下旬。とうとう首位に立ったエンジェルズは、その後も順調に勝ち続け、来る10月2日、とうとうリーグ優勝に王手をかけた。 「いいかお前ら! 悲願の優勝は目の前だ。だが決して油断はするな! ここでもたつくようなら、あっというまに勝利は手から滑り落ちる。今日、優勝を決めるぞ!」 「おうっ!」  監督の熱い檄が飛び、選手たちが応える。俺もまた、気をぎゅっと引き締める。  そして、のちに伝説となる一戦が幕を開けた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加