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「……ルト、アルト!」
身体を揺すられハッと目を開けると、心配そうにアルトの顔を見下ろすアリアナの顔が見えた。
「アリアナ?……神官長は?この世界はどうなったの?」
飛び起きたアルトに、アリアナは首を傾げて
「神官長?それは、魔法学園に入学する試験の日の話し?」
そう聞かれて辺りを見回した。
そこは見覚えのある、自分の部屋だった。
「夢……か……」
やけに生々しい夢だった。
ドクドクと早鐘を打つ心臓を押さえ、アルトが深呼吸していると、アリアナが心配そうにアルトの顔を見つめながら手を握ると
「大丈夫よ、アルト。#私__わたくし__#がアルトの事を守るから!」
そう言って微笑んだ。
アルトはアリアナに微笑み返し
「ありがとう、アリアナ」
と答えた。
するとアリアナは
「来週から魔法学園に通うから、きっと心配で嫌な夢を見たんですわ。お父様とお母様には伝えておくから、今日はゆっくり寝ていらしてね」
そう言って、アルトの『大丈夫だから』の言葉を聞きもせずに部屋から飛び出して行ってしまった。
すると
「アルト!怖い夢を見たと言うのは本当か?」
「アルト!大丈夫?何処か具合の悪い所は無い?」
と、両親がアルトの部屋に飛び込んで来た。
「アルト、魔法学園に行きたくないなら、父さんが何とかしてやるから言いなさい!」
「アルト、魔法学園なんかに無理して行かなくて良いのよ!」
王家でも、魔力を持っていたら通わなくちゃならない魔法学園に、通わなくても良いってむちゃくちゃだなぁ~と苦笑いしているアルトに、父親はそっとアルトの身体を抱き締めて
「太陽の神子なんて関係無い。アルトは、父さんと母さんの大切な息子だ」
そう呟いた。
アルトが優しい父親の言葉にホッとして
「うん、ありがとう」
と答えると、両親はアルトを優しく抱き締めていた。
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