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すると神官達がざわつき、一斉にアルトに跪いた。
(えー!一体、何が起きたんだ?)
驚くアルトに、神官達は
「貴方の魔力は、太陽の神子。いわゆる光の魔力です」
そう告げられて
「いやいやいやいや!待って、待って!光の魔力は、月の巫女の魔力だよね?」
思わずあまりの驚きに、アルトがそう叫ぶと
「この国には、太陽の神子と月の巫女がおります。ただ、大抵の太陽の神子は、光の魔力の強さに耐えられず肉体が幼いうちに滅びてしまうのです」
そう言われて
(じゃあ、アルトが死んだのは、頭の打ちどころが悪かったんじゃなくて、光の魔力に耐えられなくて死んだって事なのか!)
と考えていると
「太陽の神子がいらっしゃるという事は、月の巫女が現われるという事!2人が揃うのは、この国誕生以来です!直ちに、王に報告を!」
アルトの気持ちを他所に、教会が大騒ぎになってしまう。
すると、アルトは教会の特別室に通されたのだが、道すがら、神官達はアルトを見ると泣き出したり祈り出したりし始めたのだ。
(な……何が起きてるんだ?)
戸惑うアルトが別室で待機していると
「アルト!」
と叫ぶ声と同時に、ロベルタを伴ってアリアナがアルトの腕の中に飛び込んで来た。
「アルトが太陽の神子様だって……。どういうこと?」
心配そうに顔を歪めるアリアナを、アルトはそっと頭を撫でて
「大丈夫だよ。何かの間違いだよ、きっと」
そう答えた。
「いや、俺は何となくそんな気がしていたよ」
アルトにしがみつくアリアナを優しく見守っていたロベルタが、ポツリと呟いた。
「ほら、俺が木登りから落ちて足を怪我した事があったただろう?その時、アルトが『痛いの痛いの飛んで行け!』って言ったら、本当に痛みが消えたんだよ」
ロベルタの言葉に、そんな事があったなぁ~とぼんやりと思い出す。
でもあれは、前世の記憶でやっていたおまじないみたいなもんで、本当に効いたのはロベルタが純粋だったから自己催眠みたいなもんで痛みが消えたと思い込んだんだと思っていたのだ。
「そう言われれば、私が熱を出して寝込んだ時も、アルトがロベルタのおっしゃった呪文みたいなのを言ったら熱が下がりましたわ!」
と言い出した。
2人が目を輝かせてアルトを見た瞬間、ドアが開いて
「アルト!やはりきみだったのか!」
あの日、女装したアルトに一目惚れしたこの国の第一皇子、フランシスが現れた。
この国は、伴侶が女性で無ければならない決まりは無い。魔法が使える国なので、同性婚でも子供を授かる事が可能だからだ。
故に、アルトはあの日以来、フランシスからずっと求婚されていたのだ。
(もし……自分が太陽の神子だとしたら、教会で神子として永遠に仕えるか、王家に嫁がなくちゃならなくなる!どっちも嫌だぁ!!)
頭を抱えるアルトに、フランシスは相変わらずのイケメンキラキラオーラを纏いながら
「やはりあの日のきみとの出会いは、運命の出会いだったんだね!アルト」
そう言って、アルトの手を取るとキスをした。
「フランシス様、アルトは私
の大切な片割れですのよ」
頬を膨らませるアリアナに、フランシスはにっこりと微笑み
「もちろん分かっているよ、アリアナ嬢。ただ、アルトが太陽の神子となると、選択肢は2つだ。神子として永遠に誰にも会えずに教会で祈りを捧げる生活をするか、王家又は王族の血縁に当たる公爵家に嫁ぐか……だ」
と答えると、アリアナは真顔でアルトを見上げ
「アルト!背に腹はかえられないわ!フランシス様と結婚して!」
そう叫んだのだ。
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