魔法学園入学試験

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「で、何故自分が違うと言い張る?」 何もかも見透かすような視線で言われ 「僕には、何の力もありませんし……」 と、俯きながら答える。 「力が無い?」 「はい」 真顔で頷くアルトに、神官長は呆れた顔をすると 「無自覚とは、恐ろしいものだな」 そうポツリと呟くと 「魔法学園で、魔力の使い方。そして、そなたが持つ神子の力を学びなさい。そして全て理解してから、教会に入るのか?王家に嫁ぐのかを決めると良い」 と言うと、ゆっくりと立ち上がりアルトに近付いて来ると 「残念ながら、私は組み敷かれるよりきみのような可憐な美少年を組み敷きたい側だよ」 そう耳元で囁いて、魅惑の笑みを浮かべた。 「まぁ、全てが全て……妄想では無かったよ。アルト」 アルトが驚いて神官長を見上げると 「ふふふ。きみのその顔は、堪らなく私の興味をそそるな」 長くて綺麗な神官長の指が、アルトの顎を掴んで顔を上げさせる。 その指が唇に触れ、ゆっくりとアルトの唇をなぞる。 ゾクリとする程に妖艶な神官長に、アルトは魅せられていた。 「アルト、私を選べ。そうすれば、お前になら私を好きにさせても構わない」 まるで甘い蜜を垂らすように誘う声に、アルトは神官長に従いそうになる。 その時 「アルトー!」 自分を呼ぶアリアナの声に、ハッと我に返る。 「あっ……僕……」 慌てて神官長から後退ると、神官長は残念そうに軽く舌打ちをしてから 「アルト、学園生活は3年間ある。ゆっくりと考えて、答えを出しなさい」 そう囁き、アルトの頬にキスを落とした。 驚いて神官長を見上げると 「私と話がしたいなら、いつでも此処へ来れば良い。私はいつでもキミを待っているよ」 妖艶な笑みを浮かべた神官長に見蕩れていると、アリアナがアルトと神官長の間に割って入った。 「アルトは私の大切な兄ですの!いくら神官長様でも、アルトだけは譲れなくてよ!」 と叫んだ。 (アリアナ!神官長にそんな態度をしたら、別の破滅フラグが立っちゃうよ!) アワアワしているアルトに、神官長はニッコリと妖艶な笑みを浮かべ 「安心しろ、アルト。こんな程度で、罰したりはしない」 そう返事を返され、アルトは真っ青になる。 (もしかして……神官長……) まるで錆びた人形の様に、ギギギ……と音がなりそうな鈍い動きで神官長の顔を見ると 「アルト、先程からのお前の妄想の方が、罰せられると思うがな」 そう言われて、アルトは頭を抱えて思わず叫んでしまった。 「オーマイガー!」 神聖な教会の中で、アルトの叫びが響き渡ったのは言うまでも無い。
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