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それから7年。私は今日、27歳になった。もう今日から立派なアラサーだな、と会社では男性社員に笑われた。これはモラハラじゃないのか、と思いつつ苦笑いで対応する。
誕生日が毎年来るにつれ、私の価値はじわじわと下がっている気がする。値引きシールがぺたりと貼られるように。まだ若い、と言い聞かせながら鏡を見ると、小さなシミが頬にできていた。まだ若いけれど、賞味期限は近い。
そんな私のことなど構わず、宏哉はのんびりとギターを弾いている。あれからずっと、彼は似たような曲ばかり作っている。良い曲、と私が最初に言ったせいかもしれない。B面にしか収録されないような、地味な曲。音楽事務所に何曲か送っているようだが、返事が来たところを見たことはない。
背中を丸めてギターを爪弾く彼はお世辞にもかっこいいとは言えなかった。どうしてこんな男と付き合ってしまったのだろうか、と私は深いため息をつく。
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