有栖さんと四人のモブたち

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「ま、まさか……」   「ああ。作者が……参加を表明しやがった……」   「ぎゃー!?」    モブOの言葉に、モブXが発狂する。   「嫌だー! 俺はモブがいいんだー!」   「い、いや、大丈夫だろう……」    そんなモブXの方をモブYが優しくたたき、モブOへと向く。   「元モブAや元モブBたち、名前を付けられたかつての仲間たちがいるはずだ。そいつらが登場人物として採用されれば、俺たちは登場人物になる必要はない。名前を、付けられることはない!」    モブXとモブZは、モブYの方を見る。  確かにその通りだった。  今までも、彼らはそうして生きてきた。  だから、三人は期待を込めて、モブOを見た。   「駄目なんだよ」    が、モブOの表情は、暗い。   「な、なんで……」   「俺たち以外……全員……腹痛で出られないらしい……」   「えええ!?」   「昨日の新人歓迎会で出た料理に、あたったらしい」   「え、新人歓迎会? 呼ばれてない」   「俺たち四人以外で開催したらしい」   「泣いた!」   「そんなわけで、今日登場できるのは……主人公と俺たち四人だけなんだ……」   「ぎゃー!?」    全員が理解した。  今日、モブキャラ四人は、作者がお題を満たすためだけに、名前を付けられることを。  作者のエゴで、モブキャラたちの尊厳が踏みにじられることを。    四人が、モブキャラでなくなってしまうことを。   「い、一体どうすればいいんだモブO!?」   「お、俺だって知るか! だからお前たちの知恵を借りようと!」
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