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4ー5 長い一日の始まりだ!
だが、本当は、それだけではなかった。
俺が振り向くとライディアが青ざめた表情で立ち尽くしていた。
「すまない。私のせいでお前たちまで白い目でみられて」
はい?
俺は、ライディアの言葉に驚きを隠せなかった。
これは、俺とリリウスのせいじゃないの?
そういえばライディアは、この国の第3王子だった。
世継ぎ問題で王城を出ることになったとはいえそれは、変わらない。
「気にするな」
俺は、ライディアにきっぱりと告げた。
「俺たちだってお前と同じぐらい人目をひいてるんだからな」
「クロージャー」
ライディアが微かに微笑んだ。
そうそう。
俺は、頷いた。
ライディアは、もっと自信を持っても大丈夫。
何しろ、王子様でしかもその美貌なんだから。
「きゃっ!」
エディットが悲鳴をあげて倒れそうになったので、リリウスが支えてやった。
「大丈夫か?エディット」
「はい。ありがとう、リリウス」
エディットが微笑む。
「誰かとぶつかってしまって」
「こんなところでぼぅっとして!」
誰かが声を荒げているので俺たちは、そっちを見た。
そこには、赤を基調としたワンピース姿の緑色の髪をした少女が立っていた。
「なんで今年は、こんなにレベルが低そうなんだ?トカゲに、出来損ない。それにグズだなんて」
その美しい少女は、外見に似合わない悪意を振り撒いた。
「まったく、この魔法学園もみくびられたものだな」
そういって彼女は、長い髪と同じく深い緑色の瞳を細めた。
マジですか?
俺は、このえらっそうな女子とは友達になれそうにないな、とか思っていた。
俺たちが何も言い返さないとわかるとその美少女は、踵を返して去っていった。
なんなんだ?
まったく!
俺が憤っていると、ライディアがぼそっと呟いた。
「あれは、公爵令嬢で私の従姉妹のクリオ・ハクラシオだ」
ライディアがそっと付け足した。
「とても性格が悪い」
俺たちは、そのライディアの言葉に吹き出した。
門が開き、中から教師らしき女性が現れてそこに集まっている人々に向かって話した。
「今年の魔法学園の入学試験の受験者は、学園の中にお入りください」
さあ!
俺たちは、目線を交わしあう。
長い一日の始まりだ!
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