124人が本棚に入れています
本棚に追加
4ー8 同居人ですか?
魔法学園は、全寮制だ。
試験の翌日には、俺たちは、ラダクリフ辺境伯のタウンハウスを出て魔法学園の寮に入った。
寮は、男子と女子にわかれていて男子寮がイリオス寮、女子寮がフェバリエ寮と呼ばれていた。
女子寮は、基本全室が一人部屋なのだという。
エディットは、自分一人になることを不安がっていたけど、たぶん彼女なら大丈夫だろう。
男子寮は、王族以外は2年生までは二人部屋なので俺とリリウスはそれぞれ誰かと同室になる。
おそらくは1年生と2年生が同室になるらしいので2年生の誰かとなんだろうな。
いい人ならいいんだが。
俺とリリウスは、それぞれ割り当てられた自分の部屋へと向かった。
俺は、2階の角部屋だった。
リリウスは、その隣の部屋だ。
俺たちは、お互いに顔を見合わせていたがやがて思いきってそれぞれの部屋のドアをノックした。
俺の部屋からは「どうぞ」という返事がきこえたので俺は、リリウスが部屋に入っていくのを確認してから自室のドアを開けて入った。
部屋の中は、なんだか異臭が漂っていた。
まるで嵐でも吹き荒れたかのように散らかっている。
「おーい!こっちだ」
ガラクタとゴミと本の山のどこかから声がきこえたので俺は、ぐるりと部屋の中を見回した。
ガラクタや本が積み上げられた隙間から手が振られているのが見えたので俺は、そちらへと向かおうとした。
だが、床の上には足の踏み場もなかったので、そろそろと一歩ごとに物を避けながら進んでいったらその先で物に埋もれているこの部屋の住人の姿が見つかった。
「君がラダクリフ辺境伯のところから来たっていう竜人?」
顔を覗かせたメガネをかけた少年が俺のことを見上げてきいた。
「入学試験で首席だったっていう」
「クロージャーです」
俺は、簡単に自己紹介をした。
「トカゲの谷から来たクロージャーです」
「トカゲの谷?」
少年は、ちょっと妙な顔をした。
「マジで?」
少年は、ごそごそとガラクタの間から這い出してくると床の上に座ったまま俺を見上げて俺に向かって手を差し出してきた。
俺は、その手を握り返して握手したが、なんか彼の手は汚れていて気味悪くねばついていて気色が悪くて俺は、ぞっとした。
そんな俺のことも気にする様子もなくゆらりと立ち上がると少年は、ロナードと名乗った。
「ロナード・レイヴンだ。よろしく、クロージャー」
最初のコメントを投稿しよう!