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4ー11 風呂に入ろう!
「さあ、風呂に行くぞ!」
俺は、ロナードを引きずるようにして寮生用の風呂場へと連れていった。
風呂は、この世界ではお貴族様の贅沢の内の一つだ。
この魔法学園は、貴族の子弟が多いので寮にも風呂が設置されていた。
風呂場は、1階の食堂の付近にあった。
一応、寮生なら誰でも入っていいことになっているが、入る順番が決められていて貴族が初めに入って、その後が俺たちのような平民だった。
俺とロナードが脱衣場についたときには、風呂には人気がなかった。
きっと、お貴族様たちは、もう使い終わったのだろう。
俺は、ロナードを引っ張って入っていくと服を脱いだ。
久しぶりの風呂だ!
ラダクリフ辺境伯のタウンハウスでは望めば風呂に入れたがなかなか客の分際ではそんな贅沢はいえなかったんだよ。
俺が風呂場へと入っていくとロナードも諦めた様子で服を脱いで俺の後に続いた。
寮の風呂は、大きな円形の石作りの風呂で風呂場の中央にでんと据えられていた。
俺は、ロナードを床に座らせると頭からざぶざぶとお湯をかけ石鹸をつけて洗った。
ロナードは、抵抗もせずに俺の好きなようにされていた。
なんか、これって大型の賢い犬を洗っている気分。
ロナードは、全身垢まみれで一度洗っただけではきれいにならず俺は、2度、3度と洗ってはお湯をかけた。
ようやくきれいになって俺から解放されたロナードは、鼻唄を歌いながら湯船にのんびりとつかっていた。
ちっ!
俺は、舌打ちをしながら自分も体を洗って湯船へとつかった。
風呂から上がると俺は、ロナードの髪を魔法で乾かしてやった。
「何、これ、超便利じゃん!」
ロナードは、呑気に俺にかしずかれていた。
俺は、なんだかむなしさを感じていた。
なんで、俺がこんなことを。
しかし、風呂に入ってさっぱりできたし、まあ、いいか。
俺が自分の体を魔法で乾かしているのを見てロナードは、ため息をついた。
「こんなキレイ好きな同居人がくるなんて、僕は不幸だ」
その言葉をきいて、俺は、ぶちギレそうになった。
いや、不幸な人がいるのならそれは、お前じゃないだろうが!
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