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5ー2 美味しいご飯を食べたい!
ルウシエは、なかなか腕のいい鍛冶職人見習いらしくってちょこちょこ生徒たちからも注文を浮けているのだとか。
といっても主にロナードだけどな。
ロナードは、俺の魔法に興味津々だ。
何しろ、俺は、無詠唱で、しかも少し風変わりな魔法を使っているらしい。
今まで特に指摘されることもなかったので気がつかなかったよ。
でも、それならリリウスやエディットもそうなんじゃね?
あの二人に魔法を教えたのは俺だしな。
というか、トカゲの谷全体が少し変わった魔法を使っていることになるのか?
魔法学の教師であるカナン先生は、俺たちの魔法が変わっているのは俺たちが竜人族だからだと理解しているようだ。
魔道具製作も普通は、魔石に魔道回路を刻んでそこに魔力を流して造るとかいうけど、俺は、錬成術で造ってるしな。
ロナードは、俺の錬成術にも興味を示していた。
だけど、俺は逆にロナードの魔道具製作が面白いと思っているんだがな。
なんか、ロナードの考え方や発想は、俺に近いものがある。
『渡り人』の俺と近い発想をしているなんてすごくね?
この頃になると、俺は、寮生活に少しだけ不満ができていた。
特に食事が不味いのは我慢できない!
不味すぎるよ!
俺は、寮長に頼んで寮の調理場を使わせてもらうことにした。
といっても料理長の元冒険者という噂があるほどがたいがでかくて迫力のあるセレスさんの冷ややかな視線に耐えながら作業しなくてはならないんだけどな。
材料は、自分の持ち込みだ。
俺は、放課後に学園の近くの店までわざわざ歩いて買いに行ってきた。
近くといっても歩いて一時間はかかる。
俺は転移の魔法が使えるから一度行ったところなら転移で行けるので次からは楽できそうだ。
俺は、店で買ったジャガイモの仲間みたいな野菜とニンジンとよく似た野菜と謎の肉じゃない肉、といってもマッドモウの肉だけどな、を使ってポトフを作った。
コンソメがなかったのでいくつかあった調味料と香辛料を使ってその場で錬成する。
それから、パンだな。
俺は、数日前から用意していた酵母を使ってパンを作った。
後は、主食にハンバーグを作った。
といっても、マッドモウの肉を刻んで味付けをして形作って焼いただけのものだけどな。
料理を作り終わった俺にセレスさんが近づいてきた。
何?
俺は、びびっていた。
調理場の裏に連れ出されてフクロにされちゃうの?
だが、セレスさんは、俺の肩をぐっと力強く掴むと頭を下げた。
「頼む!その料理のレシピを教えてくれ!」
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