『首輪』アナザーストーリー

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 ウォルフは紅月国の国民であるが、「反乱軍」の一員であった。  紅月でもなく、ツァレでもない、  新しい世界を築くための組織、『カサブランカ』の一員である。  諜報員として、敵国や「特別区」に乗り込んだり、こうして地球に乗り込んだりもしているのだ。  ―――――― 「なぁ」  平地に戻り、川辺で畠山は振り返った。  川の中を見ているようだった。  ウォルフがその中を覗くと、数匹の鯉がいた。 「お前、鯉の刺身を食ったことがあるか?」  ウォルフは首を振った。 「ちょっと、あんたの世界に行く前に、釣りでもするか」 「釣り?」 「ああ、釣りだ。こんなにいっぱいいるなら、ひっかけでいけるよ」 「ひっかけってなんだ?」 「まあ見とけって」  畠山はバッグから道具を取り出した。  いままで何かの武器か何かだと思っていた「棒」はひとふりで数倍の長さになり、 「釣竿」というものになった。  ウォルフは、いままで見たことのない光景を目にしながら、  ツァレ製の葉巻に火をつけた。
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