教室の中心で愛を叫ぶ

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教室の中心で愛を叫ぶ

『山崎和弥、俺はお前の事が好きだ。良ければ俺と付き合ってくれ!』 「へ…?」 暖かな春の日の昼下がり…教室のど真ん中… ここは南畑川高校、男子校だ。 『好きだ!』 いや、何度も言わなくても聞こえてる。 教室にいた生徒たちが冷やかす。 「いや…菅柴、罰ゲームか?」 『マジだ』 「マジ…って…俺は男だ…ぞ?」 『わかってて言っている、誰かを好きな事に性別は関係無い』 どこからともなく拍手が湧き起こる。 「ええ…と…ごめん…俺…」 菅柴慎…俺の学年で、いや、校内でも目立つイケメンで成績上位者。 そして俺も…彼と一二を争うほどの美イケメンだと噂されている…はず… 『俺じゃ不満か?』 「いや…不満とかじゃなくね?」 『じゃ、なんだ?』 「別に否定するわけじゃねぇケド、俺はゲイじゃ無い」 『なんだそんな事か、俺も違う。ゲイじゃ無い』 「は?今、俺の事好きだって…」 『ああ…好きだ。たまたま好きになったのがお前なだけで、たまたま男だったってだけだ』 「いや…うん?…そうか…」 『だからお前も俺を好きになれ、たまたま俺が男だったってだけだ』 「うん?ん…よくわかんないけど友達からなら…」 『わかった、今はそれでいい。よろしくな』 「こちらこそ…よろしく」 また拍手が起こる、男子校あるあるで男同士のカップルは多い。別に構わない、俺には関係ない…と思っていたから。 そしてそのまま昼休みは一緒に裏庭へ。 噂を聞きつけた俺たち二人のファンクラブの生徒たちが陰から見つめる中… 「なぁ、菅柴…」 『ん?』 「お前みたいなイケメンが…何で俺なんだ?好きってどうゆう事だよ…」 『ふ…山崎、お前だって美イケメンって呼ばれてんだろ?あそこの半分はお前のファンだろ?』 山積みになった生徒たちを顎で指す。 「いや…そうだけど、どう見ても俺は男だ」 『何でだろうな、入学式の日お前を初めて見つけた時…』 「そんな前から?」 『風が強くて、髪をかき上げたお前の横顔が頭から離れなかった。単純に綺麗なヤツだと思った』 「なぁ、それって別に好きとか付き合いたいとかじゃないんじゃないか?」 『俺もそう思ったよ…けど、お前がいろんな男に告られてんの何度も見かけて…俺もあんな風に気持ちを伝えたいと思ってしまった。こないだ体育の阿部センに壁ドンされてたろ?それ見て…お前にキスしたいって思った』 「ああ…アレも見られてたのか…」 『はは、お前が阿部センの股間にケリ入れたのもな』
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