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宇野と嘘と詫び
「慎…」
『和弥…来てくれたんだな…』
「慎…黙って聞け。お前が俺を裏切ったんじゃない事はわかってる。でも宇野とのキス…シーンを見た時、お似合いだなって思ったんだ」
『は?何言ってんだ、あれは宇野に無理やり…』
「始まりは無理やりだったとしても、宇野は可愛いだろ?好きになれるんじゃないのか?」
『和弥…それ本気で言ってるのか?俺が宇野を好きになるって?』
「なれるだろ?俺よりもっと…」
『……わかった…和弥…ありがとな。短い間だったけど…一緒にいられて幸せだった…』
俺を抱きしめる慎の腕は変わらず温かい。
『和弥…ずっと愛してる…お前もだろ?』
「うん…」
これが慎と会った最後だった。
週明けの月曜日、笑顔で慎に挨拶しようと思ったのに…
【山崎和弥くんいる?】
「宇野?どうした?」
【どうした?じゃないよ!菅柴くんが海外に行ったってどういう事だよ?】
「は?」
【あんたら付き合ってんじゃないの?知らなかったの?】
「何も聞いてねぇ…」
【あのさ…僕が菅柴くんの家に押しかけた時、あんたがいるって知ってて無理矢理キスしたんだよねぇ】
「な…何でそんな事…」
【だってぇ、菅柴くんと付き合いたかったんだもん。この僕が好きって言ったのに、見向きもしないんだよ?失礼しちゃう。菅柴くんなんて言ったと思う?】
「知らない…知るわけない…」
【死ぬまで好きなやつを見つけたから諦めろってさ。あんたの事だよね?なのに何で何も言わずに海外なんて行っちゃったのかなぁ?】
「ウソだろ?俺…アイツになんて事を…」
【あーあ、もう会えないのかぁ。残念だなぁ】
ウソだ、ウソだ、ウソだ…
慎…慎…俺の愛しい恋人…
それから1週間が立ったけど、俺は抜け殻のように過ごしていた。
【和弥くん!あらら…やつれちゃってぇ…】
「なんだよ…宇野」
【今日はさっさと帰りなよ〜】
「はぁ?帰る以外何もねぇよ」
俺は当然のように真っ直ぐ帰った。
「ただいま…」
【カズ、おかえり。こっちおいで】
「んだよ…」
ドサ…
『よぉ…ってか和弥…どうしたんだ?そんなにやつれて?』
「し…慎…慎…何で?何で?」
『何でって…お土産…』
【カズはね、慎くんが何も言わずに海外に行ってしまってもう会えないって泣いてたの。うふふ】
『ちーちゃん、和弥に伝えてって言ったのに!』
【だって、ふたりとも素直じゃないんですもん】
「慎!どうゆう事か説明しろ!」
『え…両親に会いに行ってただけだけど…学校の奴らも知ってたはず…』
「宇野…会ったら殺す…」
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