こんなにも…愛してる

1/1
前へ
/23ページ
次へ

こんなにも…愛してる

俺は怒った…フリをしたままで部屋に閉じこもった。 だって涙が溢れて止まらないんだ。 こんなにも慎の事が好きだったなんて自分でも驚いた。 コンコン 「…」 『和弥…入っていいか?』 「…」 『和弥…?入るぞ?』 今、入って来られたって涙で顔なんて見えない。こんなぐちゃぐちゃの顔見せられない。 俺は膝を抱えて床に座り込んだ。 『和弥…悪かったよ。ちゃんと言えばよかった』 「あっち行けよ!慎なんか…慎なんか…」 『うん』 そう言って俺を後ろから抱き込んだ。 「二度と会えないのかと思った」 『うん』 「俺…嫌われたままで、海外に行ってしまったって」 『うん』 「慎…俺…お前の事」 『うん』 「死ぬほど好きだったって気づいた」 『うん…一週間海外で頭冷やして、改めて和弥に愛してるって伝えようと思ってた』 「……」 『和弥…顔見せて?』 「ヤダ、今、ひどい顔してる」 『俺が好きでそうなったんだろ?じゃあ、そのひどい顔も俺のだ』 「鼻水と涙でドロドロだぞ?慎の好きな綺麗な顔じゃない」 『わかってる、顔見せてキスさせて?』 「じゃ、ティッシュ取って」 『クス…はいはい』 フーン!派手に鼻を噛んで涙も拭いた。 そしてゆっくり慎の顔を見る。 『和弥…愛してる』 「慎…俺も…」 ちゅ…ちゅ… 『ちーちゃん?』 【あれ?またバレた?】 『和弥を攫ってっていいですか?』 【仕方ないわねぇ…明日は土曜日だしぃ、今度こそ二泊してくる事。もうケンカしないでよ?】 『もう二度と和弥を傷つけたりしません』 「慎…」 【カズを下さいって言われてるみたいだわ。うふふ】 『それはまた改めて』 【じゃあカズはお泊まりの準備してて。慎くんに話があるの】 『わかりました。じゃ後でな』 「おう」 俺はゆっくりと準備を済ませて下に降りた。 「あれ?話してたんじゃないの?」 【慎くん、お料理も出来るのよ?】 「マジか…すごいな」 テーブルには美味しそうな料理がたくさん並んでる。 『そう言えば、和弥のお父さんは?』 「ああ、単身赴任してるよ。今は北海道だっけ?」 【ええ、だから自由にさせてもらってるの】 『その…お父さんはちーちゃんの仕事の事知ってるんですか?』 【ええ、私の本の大ファンなのよ?】 『そうか…なら…』 【そういえば、慎くんのご両親は?】 慎の両親の話を聞いた母さんが、大興奮だったのは言うまでもない。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加