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お姫様
『今夜はもう寝るか?』
「明日は…今度こそデート…したい」
『そうだな、映画とカフェと買い物…』
「え…」
『なんだよ…王道すぎる?』
「いや…それで…それがイイ。ふふ…嬉しい」
『なんだよ…可愛い奴。さぁ、ベッド行こう』
俺はやっぱり、ベッドの中の慎の胸の中が一番好き…
「ここ…俺の場所な…」
『当たり前だ…一生和弥だけだ…好きだよ』
「うん、俺も好き…」
その夜はふたりとも疲れてたのか、抱き合ったまま寝てしまった。
チチチチチ…
あ…デジャブ…
ということは、隣にはイケメン…が…いない。
「慎?」
ガチャ
『和弥…起きた?』
「慎…ビックリした。いないから夢だったかと…」
『そんな訳ない…もう俺は和弥から離れないよ?こないだ朝食を洋食にしてイヤな思いしただろうから、今朝は和食にしてみた。おいで?』
「ん…んー…」
俺は腕を広げて、慎にハグをねだる。
『和弥は甘えん坊だな』
「好きだろ?」
『うん、好き』
ぎゅっと抱きしめられ、横抱きにされそのまま持ち上げられる。
『お姫様…まずは洗面所までお連れします』
「よろしく」
『歯ブラシどうぞ、歯磨き粉はピーチでよろしいでしょうか』
「まぁ良い…アーン」
俺は抱っこされたまま、座った慎に歯を磨いて貰う。
俺だって慎の膝に乗りたかったんだ、それが叶った。
『はい、終わりましたよ?顔も洗いますか?』
「クスクス…もういいよ、ありがとう」
『和弥もしかして…俺の膝に乗りたかった?』
「バレた?あの時の宇野が羨ましくて」
『バカだな、和弥ならいつでもどこでも乗せてやるのに…』
「ベッドの上でも?」
『もちろん大歓迎。とりあえず、今は朝ごはんとデートだろ?』
「うん、デート!すぐ行く」
『朝ごはん準備してるから』
俺は急いでトイレと洗顔を済ませ、寝癖ひとつ付かない髪をセットする。
その頃にはテーブルセッティングも完璧な朝食が出来上がっていた。
「すげ…慎…ありがとう」
『うん、もう少し和弥の寝顔を眺めていたかったんだけど…まだ今夜も一緒にいられるだろ?』
「うん、一緒にいる。これからはなるべく一緒にいたい」
『俺もだ…さぁ食べよう?』
「頂きます。ん!卵焼きうまぁ!」
『昨日、ちーちゃんに和弥の好みを教えてもらったんだ。いい嫁だろ?』
「ホント…俺には勿体ない…」
『こら和弥、そういうのは二度と無しだ。俺が宇野を好きになるってお前に言われて…すっごいショックだった』
「俺も後悔したよ。好きだから嘘吐くなんて辛すぎた」
『うん、俺たちふたりなんだ。他はいらない、欲しくない』
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